佐藤史仁さん

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アイキャッチ画像は、2010年11月、宇野港フェリーターミナル・離島航路棟に設置したフライヤー・ラック。デザイン&制作は、美術家の佐藤史仁さん

宇野港フェリーターミナル・離島航路棟(2010)

主な材料は、フラッシュ合板の構造体に手折りした段ボール巻き付けた棚側板。表面は、透明アクリル樹脂を4回重ね塗りして摩耗への強度を持たせています。正面の透明ガラスは、曲げ加工した鉄板で上下から挟み込むように固定。1つのラックは、5段構成で1段に約200枚のフライヤーを格納可能。6組の構成で30アイテムに対応。フライヤーの図柄を損なわせず、さらに手に取りやすい。A4サイズのフライヤーも四つ折りにすれば収まる。更に、床面から浮かせているので掃除の邪魔にならない 。そこはかとなく控え目に存在すべき立場の什器ですが、このフライヤー・ラックは、類い希な造形力で「作品」としても十分に見応えがありました。

以来、現代アートの聖地・直島に向かうアートファンに岡山県周辺の展覧会などの情報を提供してきましたが、2017年3月、弊社がフェリー会社から代理店業務を解消され、残ったスタッフでは維持管理が困難判断。同年5月に MIU ART BOX(2004〜2017)の展示器材と共に撤去しました(涙)。

因みに、プロ野球の解説者・森本稀哲さんのお姿をテレビで拝見する度に佐藤さんの事を思い出します。話す時の表情、話し方、声も双子なのかと思うほどそっくりなのですよ(笑)。

佐藤さんは、現代アートは勿論、建築への知見も豊かで、直島銭湯・ I❤湯に面している知人宅に防御アート・マネーバードを設置して貰ったり、玉野市への移住を支援しているうのずくり交流拠点・uz(現・シェアショップ uz) のリフォームや拙宅の修繕など、何かとお世話になっています。

マネーバード@直島(2010)

この懐かしいプロジェクトを振り返ってみれば、かろうじて果たした僕の役割は、羽根田文子さんから悩みを告げられ、その解決策を佐藤史仁さんに求めた事だけでした。それでも、自分の立場からすると、今回のような事態に対して、他にアクションを起こそうとする人が居なかったことに注目して欲しい。彼女が困っている事に気づかない筈はない。でも手を差し伸べようとはしない。それは何故なのか?

たとえば、今の直島で暮らす人々には、福武財団ベネッセアートサイト直島の活動に対して、表だって異議申し立てが出来ないような無言の圧力が生じているのではないだろうか? 僕には、それがトラブルを恐れる自己抑制的思考に伴う不作為と感じているのですが、それは社会の中に数多く発生している事例であって普遍的な課題しょう。この事例のように自分がたまたま遭遇した状況に対して何か変だなと感じた時には、そのトラブルの「根本」がどこにあるのかを把握、希求しようとする最初の一歩を踏み出すかが肝心だと思うのです。

NEWS! ご案内をいただきました 🤣

企画展:佐藤史仁 展(終了)
    膨張する利己主義、次に何が来るのか?
会 期:2007年8月16日(木)〜8月26日(日)
会 場:岡山県天神山文化プラザ 第3展示室
    岡山市北区天神町8-54
    086-226-5005

個展など

2007 野外公開制作・展示(石山公園)
2005 Jeans Factory Contemporary Art Award 優秀賞
2003 more fresh meet(Kim foster Gallery)
    Tractor Pull 2(Pittsburgh)
2002 Subtle Intervention(The Fayerweather Gallery)
    Crackpot(Richmond Center for Contemporary Art)
2001 Academy 2001(Conner Contemporary Art)
    Futur Skulpture(Mclean Project for Art)
    Tractor Pull(The Hewlett Gallery)
    Response(The Johnson Center Gallery)

拙宅の外壁修理(2018)

佐藤さんには、コンクリート外壁の鉄筋爆裂や雨漏りの補修もしていただきました。

こちらは、ギャラリー・サンコアで購入した佐藤史仁さんの作品・ウサギ(FRP)。毒ガスの島・大久野島に生息するウサギがモデルで、片方の耳が短かくて全身にタトゥー のような文様が描かれ少し怖い。

余談ですが、弊社スタッフが、近所のペットショップで働いていた頃の話・・・2人の外国人が来店してウサギを抱えて、「これが良いね。絞めて解体してくれ」と言われたので、咄嗟に奪い返したという・・・日本でも江戸時代には、ウサギ=鵜(う)(鷺)と呼び替えて鳥類に見立てて(ご丁寧に、羽という数え方もした)盛んに食べていたそうですね 😅

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