約3年の改修工事を経て、2014年11月にリニューアルオープンした東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)の邸内撮影が特別に許されると聞き、2015年に開催された「建築をみる2015 アール・デコの邸宅美術館 展」に駆けつけました。アイキャッチ画像は、カフェとミュージアムショップを備えている新館のギャラリー前に設けられたホワイエ。三保谷硝子製のガラス壁も美しい。

NEWS! ご案内をいただきました 🤣
展覧会:装飾の庭
朝香宮邸のアールデコと庭園芸術
会 期:2023年9月23日(土・祝)〜12月10日(日)
10:00〜18:00(入館は17:30まで)
観覧料:1,400円(一般)
会 場:東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
03-3443-0201
1933年、東京・白金の御料地の一部を敷地として朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)は竣工しました。約一万坪の敷地の庭園部分には、広々とした芝生が広がり、日本庭園、盆栽・花卉園が備わり、鶴や孔雀などの動物たちが闊歩していました。同邸宅内の壁面には、遠景に山々を望む森林や水を湛えた庭園の風景が描かれており、室内に居ながらにして自然の中にいるかのような装飾プランが展開されています。主要客室の装飾を手がけたフランス人装飾芸術家アンリ・ラパン(1873〜1939)によって描かれたこの一連の装飾画は、朝香宮邸のコンセプトを読み解く鍵であると共に、当時のフランスにおける庭園芸術との関連性を指摘することのできる作品でもあります。
同邸の装飾プランに多大な影響を及ぼしたとされる1925年のアール・デコ博覧会において、「庭園芸術」は初めて独立した出品分類として設けられるなど、重要視されていました。造園家のみならず、建築家や装飾芸術家も “庭” を如何に “装飾” するかということに心を砕き、各パヴィリオンの周囲や街路には多様な庭園が造りこまれました。
本展では、博覧会を中心とした両大戦間期のフランスの近代庭園を巡る動向に着目し、古典主義・エキゾティシズム・キュビスム的要素を取り入れて展開していった様について、絵画や彫刻、工芸、版画、写真、文献資料等、約120点の作品からご紹介します。本展を通して、当館建築の装飾や空間自体についてのより一層の理解を深めることを目指します。

こちらは、2016年6月の建て替え前のホテルオークラ東京(現・The Okura Tokyo)の本館。1962年5月20日に竣工したホテル・オークラ東京の設計は、谷口吉郎。新しいホテルの基本設計は、谷口吉生。42階建てと17階建ての2棟で構成されるとの事。投資額は、約1,000億円。
東京都庭園美術館での「建築をみる2015 アール・デコの邸宅美術館」を観覧する際に見学を兼ねて利用しました。ロビーを彩る漆塗りの丸テーブルと布張りのソファは、長 大作(1921〜2014)のデザイン。ご承知だと思いますが、上から眺めると梅の花に見えるように配置されていて、オークションに出されたら手に入れたい逸品。因みに全くの余談ですが、一泊目の翌朝に別館にお住まいの某有名女性歌手とプールで並泳させて貰った事と、朝食でいただいた伝統メニューのフレンチトーストが絶品だった事を申し添えておきます 🤣
紙障子上部を飾っている組子障子・「麻の葉文」を制作したのは、佐藤重雄(1911〜?)。世間的には高く評価されていますが、ご本人は「ホテルオークラの仕事? あれはいけません。突貫工事でやらされたんで気に入っていません。葉の筋1本落ちてもみっともありませんし、あればっかりは気がかりです」と語っています(職人衆昔ばなし:斎藤隆介著より)。