約3年の改修工事を経て、2014年11月にリニューアルオープンした東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)の邸内撮影が特別に許されると聞き、2015年に開催された「建築をみる2015 アール・デコの邸宅美術館 展」に駆けつけました。アイキャッチ画像は、カフェとミュージアムショップを備えている新館のギャラリー前に設けられたホワイエ。三保谷硝子製の歪んだガラス壁も美しい。

NEWS! ご案内をいただきました 🤣
展覧会:時を紡ぐ館
会 期:2025年6月7日(土)〜8月24日(日)
10:00〜18:00(入館は17:30まで)
観覧料:1,000円(一般)
オンラインによる事前予約制
会 場:東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
03-3443-0201
東京都庭園美術館の本館は、1933年に朝香宮家の自邸として竣工しました。竣工時からの改変はわずかで、当時の様子を良好な状態で伝えることから、国の重要文化財に指定されています。1983年に美術館として開館して以来、旧朝香宮邸の建築空間を生かした展覧会を開催してきました。年に一度の建物公開展では、特に素材や技法、意匠など、建築そのものに注目しながら、毎回様々なテーマを設け、当館の建築としての魅力を紹介しています。今回は、旧朝香宮邸における建築空間の「機能の変遷」に着目します。
この建物は現在に至るまで、時代の潮流と共に幾重もの歴史を紡いできました。朝香宮家が過ごした邸宅としての14年間。吉田茂元首相が政務の場として活用した7年間。国の迎賓館として、数々の国賓をもてなした19年間。民間の催事施設として、多くの人々に開かれた7年間。そして今、美術館として42年目を迎えるこの建物は、時代ごとにどのような機能や役割を果たし、人々と共生してきたのでしょうか。
本展では、各時代を彩るゆかりの作品や写真・映像資料を通して、建物の記憶を紐解きます。また、建物自体の魅力を存分にお楽しみいただけるよう、家具や調度品を用いた再現展示、3階ウインターガーデンの特別公開、さらに窓のカーテンを開け放ち、夏の新緑を望めるように設えます。建築空間や室内意匠にもぜひご注目ください。

こちらは、谷口吉郎(1904〜1979)の設計で、1962年5月20日に竣工したホテル・オークラ東京(現・The Okura Tokyo)の本館。企画展・建築をみる2015 アール・デコの邸宅美術館@東京都庭園美術館を観覧する際に見学を兼ねて利用しました。画像右上の紙障子上部を飾っている美しい組子・「麻の葉文」を制作したのは、指物師・佐藤重雄(1911〜?)ですが、ご本人は「ホテル・オークラの仕事? あれはいけません。突貫工事でやらされたんで気に入っていません。葉の筋1本落ちてもみっともありませんし、あればっかりは気がかりです」(職人衆昔ばなし:斎藤隆介著より)と語っています。
ロビーを彩る漆塗りの丸テーブルと布張りのソファは、長 大作さん(1921〜2014)のデザイン。ご承知だと思いますが、上から眺めると梅の花に見えるように配置されていて、オークションに出されたら手に入れたい逸品。2016年6月に建て替えられる新しいホテルの基本設計は、谷口吉生。42階建てと17階建ての2棟で構成され、投資額は約1,000億円との事。余談ですが、一泊目の翌朝に某有名女性とプールで並泳させて貰った事と、朝食でいただいた伝統メニューのフレンチトーストが絶品だった事を申し添えておきます 🤣
