東京都庭園美術館

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約3年の改修工事を経て、2014年11月にリニューアルオープンした東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)の邸内撮影が特別に許されると聞きつけ、2015年に開催された「建築をみる2015 アール・デコの邸宅美術館 展」に駆けつけました。アイキャッチ画像は、カフェとミュージアムショップを備えている新館のギャラリー前に設けられたホワイエ。三保谷硝子製のガラス壁も美しい。

展覧会:ルネ・ラリック リミックス
    時代のインスピレーションをもとめて
会 期:2021年5月26日(土)〜9月5日(日)
    10:00〜18:00
観覧料:1,400円(一般)
会 場:東京都庭園美術館
    東京都港区白金台5-21-9
    03-3443-0201

19世紀末から20世紀半ばにかけて、ジュエリー作家/ガラス工芸家という肩書を超えて、生涯を通して芸術家としての独自の道を切り拓いたルネ・ラリック(1860〜1945)には、尽きることのないインスピレーションがありました。

とりわけフランス、シャンパーニュ地方の小さな村アイに生まれたラリックにとって、幼少期から身近な存在だった「自然」は、その多様なインスピレーションの根源ともいえるでしょう。自然を注意深く観察することによって培われた眼差しは、やがてイギリスでの経験や日本美術からの影響、大戦間期における古代ギリシア・ローマへの回帰やエキゾティックな嗜好、新しい女性たちのイメージなど、20世紀初頭のフランスに起ったさまざまに異なる芸術潮流と結びつきながら磨かれていきました。例えば浮世絵にインスピレーションを得て、パリ郊外の自邸付近で撮影した雪景色を表現したペンダントや、 1909年に他界した妻アリスの面影をシダのなかに刻印した香水瓶。同時代の世界と日常身辺の心躍る事象や個人的な記憶に、鋭い観察眼と想像力によって新しいかたちを与え、「装飾品」として人々の身近なものにしたのです。

希少なジュエリーからより多くの人々のためのガラス作品への転換は、急速に変化する社会のなかで芸術と生活がどのような関係を結ぶことができるのかを示そうとするものでした。生きることとつくること―ルネ・ラリックが、自然を起点としてどのように世界を観照し、装飾という芸術を希求したのかを明らかにします。

因みにこの時の宿は、2016年6月に建て替えが決定的になったホテルオークラ東京(現・The Okura Tokyo)の本館を選択しました。エントランスロビーを彩る漆塗りの丸テーブルと布張りのソファは、長大作のデザイン。ご承知だと思いますが、上から眺めると梅の花に見えるように配置されていて、オークションに出されたら手に入れたい逸品。余談ですが、翌朝、同ホテルを住まいにされていた某女性歌手とプールで並泳させて貰った事と、朝食でいただいた伝統メニューのフレンチトーストの美味しさも良き思い出となっています 🤣

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