ヴァンジ彫刻庭園美術館(閉館)

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「花、アート、食」をコンセプトにした複合施設・クレマチスの丘の敷地内にあるヴァンジ彫刻庭園美術館は、撮影も自由で穏やかな丘陵と古くからある自然を活用した美しい庭園を回遊しながらイタリアの彫刻家・ジュリアーノ・ヴァンジ(1931〜)の世界観に心全開で浸ることが出来ます。アイキャッチ画像は、睡蓮の池に佇んでいる作品・水を着る女(1994)。約250種2000株以上のクレマチスやチューリップ、バラなどが咲き乱れるランドスケープ・デザインに溶け合うように配置されている大型の彫刻は、1995年にフィレンツェで開催された大回顧展に出品された作品がその中核になっています。

竹林の中の男(1994)

建築設計は、宗本順三 + 柴原利紀 /ラウムアソシエイツが担当し、鹿島建設の施工で2002年4月に開館したそうで、スルガ銀行の元頭取・岡野喜一郎(1917〜1995)のコレクション(約2,000点)を展示するために1973年に建設したベルナール・ビュフェ美術館(設計:菊竹清訓 施工:竹中工務店)が、この施設の皮切りになっているとお聞きました。2023年9月30日、閉館 😂

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企画展:開館20周年記念展(終了)
    生命の花
会 期:2022年4月23日(土)〜12月25日(日)
    10:00〜18:00
入館料:1,200円(一般)
会 場:ヴァンジ彫刻庭園美術館
    静岡県駿東郡長泉町東野クレマチスの丘347-1
    055-989-8787

開館20周年を記念する展覧会・生命の花では、これまで当館で展示されてきた作品や本展のための新作を含む39作家による作品を紹介します。

私たちが現在生きているこの社会は、地球温暖化による気候変動、パンデミック、東日本大震災と原発事故、国際関係の悪化など絶えず混乱が渦巻いています。私たちは今、不確かなものに包まれ誰もが不安を抱えた状態にあるのかもしれません。当美術館は、現代社会を生きる人間の複雑な内面を表現したジュリアーノ・ヴァンジの作品を中心に、現代作家の作品を収集・展示することで来館者がさまざまな美術作品と出会い、日常を立ち止まって見返すための思索の場となることを目指し活動してきました。

今回展示する作品は、作家の個人的な経験や日々の営みから生まれた作品を中心に据えています。作家たちの鋭い洞察力と感受性を経て表現された作品は、私たちに想像力を喚起させ、世界をまなざすための新しい視点を与えてくれます。そしてふと庭園をみわたせば、人間社会の混乱など知る由もなく、植物や生きものたちが変わらぬ営みを刻々と続けています。視点を少し変えるだけで、私たちの世界は、たくさんの驚きと希望に満ちていることに気づくでしょう。

作品との出会いに、自然とのふれあいに、世界と向きあうための新しい視点を手に入れること。心動く瞬間を見出すこと。そうした一つ一つの経験の積み重ねが、今を生きるための確かな力となることを願い、本展覧会を開催いたします。

2020年に閉店したリストランテ・プリマヴェーラ 😭

この施設がある長泉町は、クレマチス(和名:テッセン)の種苗シェア日本一を誇り、黄瀬川周辺では、カワセミなどの野鳥が生息していて自然の豊さに驚かされます。因みに、この地を訪れたならばJR三島駅から送迎シャトルバス(要予約)が出ている淡島ホテルなどを宿としてチョイスしたい。更に、水の豊かなこの地で見過ごせないのがウナギ料理。1856年に創業の老舗店・うなぎ 桜家は、浜名湖などの産地から運ばれてくる活ウナギを富士山の湧き水で一週間ほど静養させて余分な脂肪を落とし提供されていて絶品。レトロな店内の風情も楽しめてお勧めです 😃 

プリマヴェーラ(2009)

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企画展:開館50周年記念展
    ベルナール・ビュフェ 偉才の行方
会 期:2023年11月25日(土)〜2024年11月24日(日)
入館料:1,500円(一般)
会 場:ベルナール・ビュフェ美術館
    静岡県長泉町東野クレマチスの丘515-57
    055-986-1300

ベルナール・ビュフェ(1928〜1999)は、黒い輪郭線とモノトーンに近い色づかいで、1940年代後半に独自のスタイルを確立しました。彼の絵画は、見る人に驚き、不安、ショックを与えるだけでなく、第二次世界大戦で疲弊したフランス人の心を見事に映し出していると称賛されました。ビュフェはピカソに比肩する逸材と評され、その人気と名声は、1950年代末にピークを迎えることになります。しかし1960年代になるとビュフェの評価は一変。俗っぽい題材の選択や、時流に逆行する具象絵画へのこだわりが非難の的となり、彼はパリの美術界から排除されていきました。

しかし1980年代になると、ビュフェの才能を称賛する声がふたたび聞こえ始めます。彼の芸術の真価を問い直そうとする動きが出てきたのです。そして2016年、長らく封印されていた全生涯にわたる回顧展がパリで開催されました。2020年代の今は、まさに「ビュフェ・リバイバルの時代」となっているのです。

開館50周年を記念する本展では、1940年代から最晩年にいたるビュフェ作品を通して、20世紀最大のフランス人画家のひとりと言われたビュフェの偉才を再考します。

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