美術家・大竹伸朗さんが手掛けた直島銭湯・ I ♥ 湯。公益財団法人・福武財団が直島住民の交流と福祉を目的に建設。環境への負荷を抑えるため給湯設備には木質ペレットボイラーを導入。運営は、直島観光協会に委託されています。 1度に利用できるのは、男湯、女湯とも8名程度。
NEWS! ご案内をいただきました 🤣
展覧会:開館25周年記念
大竹伸朗展
会 期:2023年5月3日(水・祝)~7月2日(日)
9:40〜18:00
入館料:1,500円(一般)
会 場:愛媛県美術館
愛媛県松山市堀之内
089-932-0010
2006年に東京都現代美術館で開催された「全景1955-2006」以来となる大規模な回顧展。半世紀近くにおよぶ創作活動を一挙にご紹介します。最初期の作品から近年の海外発表作、そしてコロナ禍に制作された最新作まで、およそ500点の作品が一堂に会します。小さな手製本から巨大な小屋型のインスタレーション、作品が発する音など、ものと音が空間を埋め尽くします。
愛媛展だけの特別展示・・・初の地元開催となる愛媛展では、関わりの深い宇和島市と道後温泉本館(松山市)と連携した特別展示コーナーを設けます。大竹伸朗が手掛けた「パフィオうわじま」ホール緞帳作品「のぞき岩」と、道後温泉本館保存修理後期工事の素屋根テント膜作品「熱景/NETSU-KEI」の原画を初公開します。

「大竹先生から色々と教わったの。このペンギンは、ペルちゃん。浴室にいる象さんは、女の子でサダコさん。このタイルは、インドネシア製。あのオブジェは、隣の家から譲ってもらって大竹先生がご自分で取り付けられたの。ちょっと、こっちに来てご覧なさい。あの階段を登って、鳥たちが巣箱に入るんだって!」と、楽しそうに解説して下さった羽根田文子さん。

ところが、直島銭湯・ I ♥ 湯が開業して数日後の2009年8月、写真撮影に再訪してみたら思いも寄らない事態になっていました。「先生の素敵なボインちゃんを毎日眺められるのは嬉しいのよ。でもね、玄関に置いている工事用コーンを跨いで入って来て、フェンスに背をもたれかけて写真を撮る観光客が多くて迷惑しているのよ。何とかならないものかしら!」と悩みを打ち明けられたのです。彼女は、観光客との触れあいを楽しみにしていただけに、その困惑は大きく・・・
「じゃあ、僕が一肌脱ぎましょう!」
「えっ、ご迷惑でないかしら?」
なんて、やりとりがありまして(笑)・・・アートにはアートで対抗しようと、美術家の佐藤史仁さんに白羽の矢を立てた次第です。
その後、色々と紆余曲折がありましたが、佐藤さんの作品も出来上がり設置に直島に赴く旨を羽根田文子さんに告げたところ、なんと、ご主人の德義さんが亡くなったと知らされました。まさかこのタイミングでと絶句しました。結局、作品・マネーバードの設置は、2010年8月まで延期になったのですが、これら一連の顛末をニューヨークを拠点に活動されていた映像作家の上杉幸三マックスさんが面白がってくれて宇野直島チャンネルで動画を配信して下さいました 😊

この懐かしいプロジェクトを振り返ってみれば、かろうじて果たした僕の役割は、羽根田文子さんから悩みを告げられ、その解決策を佐藤史仁さんに求めた事だけでした。それでも、自分の立場からすると、今回のような事態に対して、他にアクションを起こそうとする人が居なかったことに注目して欲しい。彼女が困っている事に気づかない筈はない。でも手を差し伸べようとはしない。それは何故なのか?
たとえば、今の直島で暮らす人々には、福武財団やベネッセアートサイト直島の活動に対して、表だって異議申し立てが出来ないような無言の圧力が生じているのではないだろうか? 僕には、それがトラブルを恐れる自己抑制的思考に伴う不作為と感じているのですが、それは社会の中に数多く発生している事例であって普遍的な課題しょう。この事例のように自分がたまたま遭遇した状況に対して何か変だなと感じた時には、それが何によるものなのかを希求する姿勢が大切だと考えています。攻撃は最大の防御ではありません。