自分が瀬戸内海の離島・直島を初めて訪ねたのは、両親に連れられ1966年7月にオープンした「フジタ無人島パラダイス」に宇野港から旅客船で上陸した13歳の頃と記憶しています。その時、画像下の琴弾地の海にも入ったのですが、今も昔も沖には藻場が大きく広がっていて遊泳場としては、やや不満が残るかも。
岩崎弥太郎(1835〜1885)や大倉喜八郎(1837〜1928)らとともに時代の寵児となった明治財界の風雲児・藤田伝三郎(1841〜1912)が設立した藤田組(現・DOWA ホールディングス)の観光部門が分離・独立した藤田観光による直島の開発事業には紆余曲折があり、同社は1987年に直島から撤退。同年、福武書店(後のベネッセ)が「人と文化を育てるリゾート・エリアとして創生」を掲げて事業を引き継ぎます。
岡山市街地を抜けて国道30号線を宇野港に向かって南下していると突然、広大な田園地帯が眼前に現れる。岡山の三大河川(高梁川、吉井川、旭川)が流れ込む広大な児島湾を堰き止めて出来た干拓地が藤田村。1877年の西南戦争で陸軍の御用達として軍靴などの軍用品を大量に納品し、30代の半ばで莫大な財を成した藤田伝三郎の仕事である。
藤田伝三郎の雄渾なる生涯
昭和30年代の初期に藤田村を訪れた大宅壮一は、『機械化されている点では日本一。農家の生活水準の高いことは驚くばかり』『村営の水道もあるし、電気洗濯機や電気冷蔵庫をもたぬ家はほとんどない。日本一の電化村だ』と驚嘆している。
1989年に直島国際キャンプ場、1991年にふるさと海の家・つつじ荘、1992年にベネッセハウス(2006年、メセナアワード大賞受賞)がオープン。更に、1997年から本村地区で「家プロジェクト」が開始され、2001年の第1回 直島スタンダード展が開催された時には、全国(まだ外国人の姿は無かった)からアートファンが直島に続々と訪れるようになりました 😅
画像左上は、1999年に開館した南寺(建築:安藤忠雄)の「バックサイド・オブ・ザ・ムーン」に感動して一気にファンになったジェームズ・タレルさん。後日、宇野港フェリーターミナルで出会ったタレルさんは、鮮やかなタレル・ブルーのネクタイ姿で、クエーカー教徒の家庭に育っただけに清楚な雰囲気が漂っていました。
目の混乱には、二通りある。即ち、明るい所から暗い所へ入ったために生ずるか、暗い所から明るい所へ入ったために生ずるかである。この事を思い浮かべられる人なら、混乱している人に出会った時に、その人が明るい生活から暗い生活へ入り込んだが故に、その暗さに慣れていないのか、暗闇から白日の下に戻ったために目が眩んでいるのかを、まずは問うであろう。
プラトン
2004年7月18日に開館した地中美術館(画像右上:エントランス)では、アフラム、ペール・ブルー 、オープン・フィールド、オープン・スカイの3点が楽しめます。オープン・フィールドでは、青い粒子の静寂の中に身を浸すことになります。入口の方向を振り返った時の色の変化にも驚かされます。オープン・スカイは、天井に四角い穴が開いていて、普段は切り取られた空が見えるだけなのですが、ナイト・プログラム(日没から約40分間)に参加すると魔法に酔えるでしょう。但し、干渉の際には首の保護のためクッション持参を強くお勧めします! 2005年2月20日、オープン・フィールドに転落防止用の柵が設けられていて魅力半減(後日、撤去)。案内係のスタッフも残念がってました。
2008年2月3日、ベネッセアートサイト直島のベネッセハウス・パークでジェームズ・タレルさんと内藤礼さんが、作品制作にまつわる活動について語る記念トーク(聞き手:茂木健一郎さん)があり参加したのですが、タレルさんの素晴らしいストーリーテラー振りに心揺さぶられました。
神戸の某ギャラリーで出会った女性から直島を知らないと告げられてショックを受け、改めて「直島の伝道師」になろうと決意した2007年、福武總一郎さんと安藤忠雄さんが発起人になって発足した直島ファンクラブ(2007〜2015)の第一期会員に推挙されました。
第1回 パーティには、パートナーと共に参加してきました。記念すべきこの日は、全国から約90名が参加。百花繚乱の集まりでしたが、直島が好きという共通項があるためか、初対面ながら、直島での過ごし方、自分たちの暮らし振り、仕事の悩みなど、不思議なほど素直に、楽しく語り合うことができました。特に、東京から参加していた若いメンバーとは、深夜まで付き合っていただき、再会を約束するほどの仲に。
パーティ会場でも、サーブは、水野さんをはじめダンディ揃い、料理は、マキシム・ド・パリ銀座仕込み。アペリティフのシャンパンから、ディジェスティフのワイン、ナイトキャップのブランデーまで、至れり尽くせりで酩酊状態に(笑)。さらに、客室へ戻る際には、福武總一郎会長夫人・れい子さん、総支配人・赤羽恭子さん、直島文化村社長・笠原良二さんから「おやすみ」のご挨拶までいただき、思わず恐悦状態に 😅
入会には、本人による申し込みと、既会員2名からの推薦を受けた上で、事務局による入会審査を経て決定され、プログラム&交流会への優先的な参加権利、オフシーズンの宿泊料金割引などの特典を与えられました。そんなこんなで、直島銭湯「 I♥湯」が開業した2009年の頃は、ベネッセハウスのウェルカム・ドリンク(シャンパン)で昼間っから酔っ払っていた事も(笑)。
この頃、ベネッセアートサイト直島が自分の Twitter(現・X )アカウントをフォローしているというメールが届く「事件」もありました。数日後、解除されましたが(涙)、名誉な負傷記念日 😅
因みに、森美術館(東京都)、金沢21世紀美術館(石川県)・ベネッセアートサイト直島(香川県)を繋ぐ入館料割引制度=ミュージアムリンク・パスが2005年8月1日に発行。各館利用時にそれを提示しスタンプを貰うと2館目から入館料が割引になり、最初の館の利用日から1年以内で3館を周ると特製グッズがプレゼントされる制度で2023年現在も継続中。
2007年4月、第1回の神戸ビエンナーレ立ち上げに際して同実行委員会から要請を受け、ベネッセホールディングス取締役会長・福武總一郎さんとの面会を仲介させていただいた事があります。当時の福武さんの多忙さは尋常ではなく、秘書室との日程打ち合わせは二転三転して苦労しました。この日の同席者は、画像左側から福井工業大学デザイン学科教授・谷内眞之助さん、華道家・吉田泰巳さん、神戸女学院大学文学部総合文化学科教授・村上直之さん、神戸市国際文化観光局参事・梅村晋一さんの面々。そして福武總一郎さん(役職は当時のものです)。
NEWS! ご案内をいただきました 🤣
トーク:安藤忠雄(終了)
日 時:2023年5月13日(土)
12:20〜13:00
参加費:無料(鑑賞料:520円が必要です)
会 場:ANDO MUSEUM
香川県香川郡直島町
087-892-3754(福武財団)
建築家・安藤忠雄氏より美術館や直島での活動などについてお話をいただくギャラリートークを開催します。スペースに限りがございますので、当日10時から ANDO MUSEUM にて整理券(30枚)を配布します。整理券をお持ちの方は優先してご案内いたします。トークの前後には、現地にて書籍をご購入いただいた方へのサイン会も実施します。皆様のご参加を心よりお待ちしております。