岡山後楽園

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岡山県の県庁所在地・岡山市の中心市街地を貫流する一級河川・旭川の中州に築かれた岡山後楽園は、岡山藩主・池田綱政(1638〜1714)が、岡山藩郡代・津田永忠(1640〜1707)に命じて作らせた遠州流回遊式の大庭園。豊臣五大老の一人・宇喜多秀家(1572〜1655)が築城した岡山城(築城当時の天守は、1945年の空襲で消失。現在の天守は、1966年に鉄筋コンクリートで再建)の後苑として1686年から1700年頃までにほぼ完成。

藩政時代には、御茶屋敷とか後園と呼ばれていたそうですが、1871年に岡山後楽園と改称。1884年に岡山県の所有となり一般に公開されました。後楽園の名称は、中国・北宗の政治家・范 仲淹(989〜1052)が政治家の心がけを述べた先憂後楽(天下を以て己が任となし、天下の憂いに先んじて憂え、天下の楽しみにおくれて楽しむ)という散文が由来。延養亭から東面して望む沢の池と唯心山(アイキャッチ画像)や、それらを取り巻く広々とした芝生などが描き出す平明な景観に心が和まされます。

沢の池@岡山後楽園(2019)
延養亭@岡山後楽園(2019)

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催し物:春の幻想庭園
    春の烏城灯源郷
会 期:2024年4月26日(金)〜5月6日(月)
     18:00〜21:30(入園は21:00まで)
入園料:410円(一般)
会 場:岡山後楽園
    岡山市後楽園1-5
    086-272-1148

岡山後楽園では、賑わいや魅力の創出を図ることを目的として、園内をライトアップする夜間特別開園・春の幻想庭園を開催します。

左:岡山城の天守から臨む岡山後楽園 右:天守閣と月見櫓を臨む(2023)

豊臣秀吉に可愛がられた宇喜多秀家(1572〜1655)が築城した岡山城は、1945年の空襲で月見櫓だけ残して焼失。現在の天守は、1966年に鉄筋コンクリートでの再建。2022年11月3日にリニューアルオープン。

講堂@旧閑谷学校

こちらは、津田永忠が備前藩主3代・池田光政(1609〜1682)に命じられて1670年に建てた庶民教育をした藩校・閑谷学校大原美術館の創設者・大原孫三郎(1880〜1943)、小説家・柴田錬三郎(1917〜1978)、詩人・三木露風(1889〜1964)などの人材を輩出。藩営としては日本最古。敷地を囲んでいる756mに及ぶ石塀は、雑草をも寄せ付けないかまぼこ型の完璧な石組みに目を奪われます。孔子廟前にある一対の楷の木が色づく11月中旬が見学のベストシーズン。

現在の姿が整ったのは、1701年だそうです。ケヤキ、桧、クスノキなどの良材に黒漆拭仕上げを施した格調高い国宝・講堂も素晴らしいけれど、僕が十代の頃は、周辺に割れた屋根瓦などが散乱していて騒然とした有様だった。ちょっと昔の景色なんてそんなもの。今は、なんでもが妙に整いすぎていて気持ち悪い。

旧閑谷学校(2023)

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催し物:第24回 旧閑谷学校ライトアップ(終了)
    ようこそ秋色づく閑谷へ
会 期:2023年11月4日(土)〜11月23日(木)
     18:00〜20:00
入場料:400円(一般)
会 場:旧閑谷学校
    岡山県備前市閑谷784
    0869-67-9900

現存する世界最古の庶民のための公立学校・旧閑谷学校。閑静な自然の中に備前焼の河原で葺かれた建造物群が点在し、独特な空間と落ち着いた雰囲気を醸し出しています。今年も楷の木の紅葉シーズンに合わせ、ライトアップします。また、ライトアップ時に孔子像の公開もします。物産販売・軽食もあります。文化の香り溢れる幻想的な美しさを、ぜひお楽しみください。

左:林原美術館 右:長屋門(2019)

岡山後楽園の余韻を楽しむには、林原美術館(設計:前川國男)がお勧めです。岡山の実業家であり、東洋古美術と刀剣の熱心な収集家であった林原一郎(1908~61)の蒐集した東洋古美術コレクションと岡山藩主・池田家伝来の品々、約1万点(国宝3点、重文14点)を所蔵。福岡一文字の銘・吉房(国宝)などの刀剣、武具甲胄、洛中洛外図屏風(重文)などの絵画書跡、芦水禽文縫箔(重文)などの能装束や染織品、彫漆螺鈿、蒔絵、中国・朝鮮・日本の陶磁、青銅器、金工などをテーマごとに順次公開しています。

世のため人のためと美辞麗句を並べ、その実つじつま合わせに終始し、私的幻想を振りまいている現代社会にあって、静かに輝く水晶のような趣で黙示的に差し示し続けています。

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企画展:歌心
    古典文学と和歌のしらべ
会 期:2024年2月3日(土)〜3月31日(日)
     10:00〜17:00(入館は16:30まで)
入館料:500円(一般)
会 場:林原美術館
    岡山市北区丸の内2-7-15
    086-223-1733

「歌心」とは、和歌の心得や素養、内容の理解だけではなく、和歌を詠むときの風流な気持ち、その「心」を表現した言葉です。五・七・五・七・七の限られた韻律(リズム)の中で、多くを語らず、より洗練された言葉をもって構成された和歌。平安時代の文学作品においては、人物が抱える光と闇、心の移り変わりを和歌で見事に表現しており、人間模様の機微や感情を伝える文法技術が凝縮された読み物として、当時から高い評価を得ていました。

本展では、『源氏物語』の屏風絵や紫式部の詠歌を記した手鑑のほか、『栄花物語』、『大和物語』など古典文学を書写した藩主自筆の書物や和歌資料をご紹介します。

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