アサヒグループ大山崎山荘美術館

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石造りの回廊、重厚な木建具の間を回遊していると濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチらの作品がニコニコしながら迎えに来てくれる。大切に使い込まれた建築のみが醸し出すことができる空間がアサヒグループ大山崎山荘美術館にはある。ニッカウヰスキーの創始者の1人・加賀正太郎が大正時代に完成させたこの豪壮な山荘が、マンション建設のために取り壊し寸前だったとはにわかに信じがたい。

何かユニークな方法で、この山荘を後世に残しておきたい、それもできるだけ多くの人たちに喜んでもらえるようなかたちで・・・。(中略)展示されている美術品には、アサヒビールの初代社長である山本為三郎氏の陶磁器コレクションやアサヒビール所有のモネの絵画も含まれているが、その後もたくさんの方々から寄贈をいただいている。企業として、社会にいかなる還元ができるかを常に念頭に置かなければならないというのが、私の持論である。ささやかではあるが、お役に立てたと思っている。

樋口廣太郎

そう、大人がしっかり見守らなければ、「子供」は大切なものを簡単に捨ててしまう。

アサヒグループ大山崎山荘美術館(2011)

NEWS! ご案内をいただきました 🤣

展覧会:中国やきもの7000年の旅
    大山崎山荘でめぐる陶磁器ヒストリー
会 期:2024年6月1日(土)~9月1日(日)
    10:00〜17:00(最終入館は16:30)
入館料:1,200円(一般)
会 場:アサヒグループ大山崎山荘美術館
    京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字銭原5-3
    075-957-3123

愛知県陶磁美術館のコレクション約80点により、中国新石器時代から清朝にいたるまで7000年に及ぶ悠久の中国陶磁の歴史を概観します。神秘的な土器の世界、副葬品として用いられた多彩色の器や日常の世界を再現する建築明器、世界に影響を与えた青花や、五彩をはじめとする数多くの技法などを、中国各地の窯の代表作品を通じて紹介します。「シルクロードを行き交う砂漠の舟」「蓋のつまみにゆるキャラ獅子」といった、各作品の特徴を捉えたユニークなキャッチフレーズが、作品鑑賞をより一層楽しく演出します。約100年前に建てられた大山崎山荘の建築、室内の中国古代の意匠と、絢爛たる中国陶磁の共演も見どころです。

左隅に佇む御仁が柚木さん@大山崎町ふるさとセンター(2008年4月12日)

こちらは、染色家・柚木沙弥郎さん(1922〜2024)の展覧会:染の仕事@アサヒグループ大山崎山荘美術館を記念して開催された講演会。たまたま手にした雑誌「民藝」で染色家・芹沢けい介(1895〜1984)の仕事に衝撃を受け型染めの世界に飛び込む事になった経緯や、思想家・柳宗悦(1889〜1961)、陶芸家・バーナードリーチ(1887〜1979)、濱田庄司(1894〜1978)ら民芸運動の先達から学んだ創作における姿勢などを、言葉を慎重に選びながら語って下さった。

柚木さんの作品も、伝統的な英国建築の意匠に見事にマッチングさせた展示構成で、正に民藝の「用の美」を具現化したものでした。1年半ぶりに訪れた美術館も庭園修復がほぼ完了していてアプローチの庭木が一段と清々しく誇らしげだった。

こちらは、講演後に訪ねたサントリー山﨑蒸溜所。ここに国産ウイスキーをつくるため1923年に日本で初めて作ったのは、寿屋(現・サントリー)の創業者・鳥井信治郎(1879〜1962)。初代工場長には、後にニッカウヰスキーの創業者となる竹鶴政孝(1894〜1979)が迎えられました。京都・JR山崎駅から徒歩10分。

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