アサヒビール大山崎山荘美術館

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大切に使い込まれた建築のみが醸し出すことができる空間がアサヒビール大山崎山荘美術館にはある。石造りの回廊、重厚な木建具の間を回遊していると濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチらの作品がニコニコしながら迎えに来てくれる。ニッカウヰスキーの創始者の1人・加賀正太郎が大正時代に完成させたこの豪壮な山荘が、マンション建設のために取り壊し寸前だったとはにわかに信じがたい。

「何かユニークな方法で、この山荘を後世に残しておきたい、それもできるだけ多くの人たちに喜んでもらえるようなかたちで・・・。(中略)展示されている美術品には、アサヒビールの初代社長である山本為三郎氏の陶磁器コレクションやアサヒビール所有のモネの絵画も含まれているが、その後もたくさんの方々から寄贈をいただいている。企業として、社会にいかなる還元ができるかを常に念頭に置かなければならないというのが、私の持論である。ささやかではあるが、お役に立てたと思っている」(樋口廣太郎)・・・そう、大人がしっかり見守らなければ、「子供」は大切なものを簡単に捨ててしまう。

展覧会:開館25周年記念 夢をめぐる
    絵画の名品より
会 期:2021年3月20日(土・祝)~7月4日(日)
    10:00〜17:00(最終入館は16:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)
入館料:900円(一般)
会 場:アサヒビール大山崎山荘美術館
    京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字銭原5-3
    075-957-3123

アサヒビール大山崎山荘美術館は1996年4月に開館し、今年で25周年を迎えます。開館25周年を記念する本展では、作品をとりまく「夢」に焦点をあて、当館蔵品を厳選し公開します。19世紀後半から20世紀はじめのパリでは、夢を抱いた芸術家が集い、多彩な文化が次々に花開きます。絵画においては、クロード・モネが、光に着目して明るい画面に都市生活を描写しました。パブロ・ピカソは、《肘をつく女》といった「青の時代」の絵画にはじまり、めまぐるしく様式を変化させ、アメデオ・モディリアーニは、対象の奥にひそむ精神性を表出しようと、《少女の肖像》のようにデフォルメされた身体を特徴とする肖像画に到達しました。独自の表現を追いもとめた彼らの夢の精華が、のこされた数々の傑作にあらわれているといえます。

理想を凝縮させた庭園をつくりあげました。今回はこの夢の庭を題材にした、連作《睡蓮》をふくむモネの代表作をご覧いただきます。また、本展では、かつて白い宝石とよばれ珍重された東洋磁器を夢みて、試行錯誤の末に誕生した17–18世紀のデルフト陶器などもあわせてご紹介いたします。名品にかくれた、あこがれ、希望、志などの背景をさぐりながら、さまざまな夢をめぐります。

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