石造りの回廊、重厚な木建具の間を回遊していると濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチらの作品がニコニコしながら迎えに来てくれる。大切に使い込まれた建築のみが醸し出すことができる空間がアサヒグループ大山崎山荘美術館にはある。ニッカウヰスキーの創始者の1人・加賀正太郎が大正時代に完成させたこの豪壮な山荘が、マンション建設のために取り壊し寸前だったとはにわかに信じがたい。
何かユニークな方法で、この山荘を後世に残しておきたい、それもできるだけ多くの人たちに喜んでもらえるようなかたちで・・・。(中略)展示されている美術品には、アサヒビールの初代社長である山本為三郎氏の陶磁器コレクションやアサヒビール所有のモネの絵画も含まれているが、その後もたくさんの方々から寄贈をいただいている。企業として、社会にいかなる還元ができるかを常に念頭に置かなければならないというのが、私の持論である。ささやかではあるが、お役に立てたと思っている。
樋口廣太郎
そう、大人がしっかり見守らなければ、「子供」は大切なものを簡単に捨ててしまう。
NEWS! ご案内をいただきました 🤣
企画展:アンドリュー・ワイエス(後期)
追憶のオルソン・ハウス
会 期:2024年10月29日(火)~12月8日(日)
10:00〜17:00(最終入館は16:30)
入館料:1,200円(一般)
会 場:アサヒグループ大山崎山荘美術館
京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字銭原5-3
075-957-3123
アンドリュー・ワイエス(1917〜2009)は、アメリカの国民的画家として知られます。ニューヨーク西方のペンシルベニア州に生まれ、生涯の多くの時間を故郷と、アメリカ最北東部のメイン州で過ごし、それらの風景とそこに生きる人々を描きました。とりわけ、《クリスティーナの世界》(1948)は、20世紀のアメリカ美術を代表する傑作として高く評価されています。
1939年、ワイエスは自身の別荘があるメイン州でクリスティーナ・オルソンと弟アルヴァロに出会います。ふたりと、彼らの住む築約150年の古い屋敷にひかれ、画家は30年にわたり同家を訪れ交流をもちました。この「オルソン・ハウス」を舞台に《クリスティーナの世界》をはじめとする数々の名作が描かれました。本展では、埼玉県朝霞市にある丸沼芸術の森が所蔵する、《クリスティーナの世界》習作を含むアンドリュー・ワイエスの貴重な水彩・素描コレクション約60点により、ワイエスが見つめつづけたオルソン・ハウスとそこにまつわる記憶をたどります。
こちらは、染色家・柚木沙弥郎さん(1922〜2024)の展覧会:染の仕事@アサヒグループ大山崎山荘美術館を記念して開催された講演会。たまたま手にした雑誌「民藝」で染色家・芹沢けい介(1895〜1984)の仕事に衝撃を受け型染めの世界に飛び込む事になった経緯や、思想家・柳宗悦(1889〜1961)、陶芸家・バーナードリーチ(1887〜1979)、濱田庄司(1894〜1978)ら民芸運動の先達から学んだ創作における姿勢などを、言葉を慎重に選びながら語って下さった。
柚木さんの作品も、伝統的な英国建築の意匠に見事にマッチングさせた展示構成で、正に民藝の「用の美」を具現化したものでした。1年半ぶりに訪れた美術館も庭園修復がほぼ完了していてアプローチの庭木が一段と清々しく誇らしげだった。
こちらは、講演後に訪ねたサントリー山﨑蒸溜所。ここに国産ウイスキーをつくるため1923年に日本で初めて作ったのは、寿屋(現・サントリー)の創業者・鳥井信治郎(1879〜1962)。初代工場長には、後にニッカウヰスキーの創業者となる竹鶴政孝(1894〜1979)が迎えられました。京都・JR山崎駅から徒歩10分。