ロープ

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ロープとは、繊維などをより合わせた丈夫な索類の事。日本語では、糸、紐、縄、綱の順に太くなる。アイキャッチ画像は、使い古しのロープですが、右端の4つはタグボートが使用していた古い牽引ロープを譲り受け、解いて編み直してたもの 🤣

ロープワーク(Animated Knots より)

自分は、宇野港で貨物船やフェリーボートなどの船員と接する仕事を長年していたので、端止め(バックスプライス)もやいむすび(ボーラインノット)巻き結び(クラブヒッチ)、南京結び(トラッカーズヒッチ)などのロープワークにも慣れ親しんで来ました。

スパイキー

何より、ロープワークを披露した時に向けられる羨望の眼差しが心地良い(笑)。因みに、ヨットやクライミング用として販売されているロープ類は、色もカラフルで、種類も多種多様で眺めているだけでも楽しいですよね。色落ちの心配もないので、自宅では洗濯物の部屋干し用の紐としても使っています。細いコード類は、ループ状にすれば吊り下げ具としても活用できます。先人の知恵に感謝です。

離島生活支援船・飄@県営宇野港第七桟橋(2011)

こちらは、台風接近に備えて係留用ロープを倍増した時の様子。この時に使っているロープは、強度・耐候性に優れている「クレモナ S」。倉敷絹織(現・株式会社クラレ)が開発した合成繊維・ポリエステル混ビニロン紡績糸を使用していて、手さわり感も優しく何かと使い勝手の良いロープです。

係船ロープの破断試験(うぃーとさんのチャンネルより)

宇野港フェリーターミナルが新しくなる10年ほど前、離島航路フェリーの係船ロープが強風で切れる瞬間を経験したのですが、命の危険を感じる凄まじい瞬間でした(汗)。近年は、船員やトラック運転手の未熟なロープワークを見越して、もらい事故に遭わないように距離を取るのを常としています 😅

台風接近@宇野港(2019)

余談ですが、離島生活支援船の活動で遭遇した出来事・・・前線は、早朝には関東地方へ移動していて、中国地方の日中は、穏やかな秋の空が広がると考え、予定通り離島の石島へ小荷物を配達するつもりでしたが、昼前から西の空が暗雲に覆われ、猛烈な雨が降り、瀬戸大橋も通行止めになる台風並の強風が夕方まで吹き荒れたのです。

当然、出港は順延と決めていましたが、初老の女性が弊社事務所を訪ねてきて、「船は出ますか? 何も出来ない障害者の夫が家に残っているので、私が帰らないと困るのです」と懇願されたのです。この時、宇野港内でも白波が立ち、海上の風速は、平均20メートル。時折、30メートルを超える突風が襲っていました。事故を起こしてしまえば親切が仇になるけれど、前線が東北地方に達していたので、もうしばらくすれば、流石に弱まるだろうと考え、「1時間ほど待って風が収まったら船を出します」と答えてしまいました 😅

そして、予想通り宇野港内の白波がほぼ消えたのを見計らって出港。航海中は問題なかったのですが、石島の港に入ってビックリ。避難して来た漁船で一杯で自分の船を入れる隙間がない! 唯一、係留が出来そうな処には、強風に押された1.5メートル超の高波が打ち寄せていました。ここの島民で船には慣れているとはいえ、初老の女性に係留作業を手伝わせるのは危険。かといって、自分だけで操船と綱取りをこなすのもハードルの高い作業です。

それでも、岸壁に接近、離脱する作業を5〜6回繰り返し、最良のタイミングを得られたと思えた瞬間に舵から手を離し、ロープを手に岸壁に食らいつきました。ところが、風と波の圧力に押されて1メートルほど前方に流され前面の岸壁までの距離は、50センチ(!)もなかったでしょう。大破寸前でした(汗)。

結果的には、船体も人体も無事でしたが、スタッフからは、「帰ってくるのが遅いので、沈没したかと思ったよ」と呆れられる始末。相談してきた方に罪は無いのだけれど、「お年寄りへの情けのかけ方」について改めて考えさせられた事案でした。ただ、そうした状況に身を置いたことで、自分の技術的な課題に気づくことが出来たことも事実。時には、「火中の栗を拾ってみる」のも一興と思った次第 😅

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