船舶給水用具

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「お仕事は何ですか?」( What do you do ? )と尋ねられた時、「宇野港に接岸している船舶に飲料水を供給しています」( We supply fresh water to ships docked at Uno Port )と答えているのですが、具体的なイメージが出来る人は少なく、スマホに保存している給水作業中の画像をお見せして「自分の暮らしは、水に支えられています。水に感謝!( Shout out to water )」と告げています 😅

船舶給水用具

こちらが弊社の船舶給水作業で使っている主な用具で、右端に横たわっているホースは消防用と同じサイズ。ホースの水漏れ事故などに備えて常時、長短8本ほどを軽四トラックに積み込んでいます。壁に立て掛けているのは、給水栓の開閉ハンドルで給水栓の仕様に合わせて使い分けます。中段真ん中にある青色の用具は、電磁流量計で給水量の測定用。因みに、流量器は、計量法(経済産業省の所管)で定められた有効期限内の機器を使用する事が義務付けられています。

ル・ソレアル@宇野港大型客船バース(2023)

左下の小さな用具は、約100年前(!)に日本で生み出された町野式(差込式:町野重猛と平野精一が共同で1920年6月に国内特許を取得。1925年にアメリカとドイツの特許も取得)と中島式(ねじ式)と呼ばれるカップリング(接合と切断をする継手器具)を接合した特注品。その他、依頼を受けた船舶の取水口に合わせ様々な用具を使い分けています。

こちらは、水流を効率良く制水する(ホースを2手に分ける)分岐器。

はくおう@宇野港大型客船バース(2018)

2018年に発生した豪雨被災者の支援船として防衛省が派遣したはくおう。宇野港での宿泊支援(1泊2食)利用者は、2018年8月3日〜8月13日で、のべ311名。この時も乗組員と被災者の方々が使用する飲料水を提供させていただきました。

ホースの洗浄&日干し乾燥

宇野港(宇野地区、田井地区)では、飲料水を365円 / トン(消費税込)で提供しています。供給能力は、1時間に50~60トン。原水は、一級河川・高梁川水系で、上中流域にあるカルスト台地を移動中にカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分がバランス良く溶解。軟水(30mg / L)で、日本酒の仕込み水としても使われています。

クルーズ客船・カレドニアンスカイへの給水作業風景@宇野港大型客船バース(2017)

船舶給水という業種について、ご理解をいただけたでしょうか? 因みに、外国籍の船舶や日本籍の外航船に飲料水を積み込む作業は、「清水の輸出取引」(内国に適用される消費税は免除)になるので、税関の積込承認が必要です 😅

RORO船への給水作業@宇野港・田井地区(2018)
RORO船の接岸@宇野港・田井地区(2021)

余談ですが、日本消防検定協会の資料によると、消防用ホースの登場は、今から400年ほど前のドイツ。なめし皮を縫い合わせてリベットで留めてホース状にしたものが使われていたようです。尚、日本国内で初めて生産されたのは、1903年に日本製麻(現・帝国繊維)・大阪工場が英国ロバートホール社製の織機を使い筒状(ジャケット)に作った麻製のもの。合成繊維を纏った現在のホースとは、隔世の感がありますね 🤣

因みに、倉敷市の玉島港で船舶給水業務を行っているのは、倉敷地区海運組合と業務委託契約をしている玉中ポートサービス(株)。同・水島港では、水島港湾事務所と業務委託契約を取り交わしている(株)水島ポートサービスが担当。水道料金に関しては、倉敷市水道局と協議して定めているとのことでした。更に岡山市の岡山港では、岡山港埠頭開発(株)岡山港管理事務所と指定管理者としての包括協定を締結しているとお聞きしました。

余談ですが、地球表面の71%を覆っている水の96.5%は海水で、淡水は僅か2.5%しか存在しないそうです。その内、氷河や氷冠が68.7%、地下水が30.1%で、氷と地中に閉じ込められている。地球上で生息している植物、動物、人間などが、その生命を維持するために利用できる地表水は、全ての淡水の僅か1.2%に過ぎない。また、日本国土で利用可能な水は、ほとんどを降雨(東南アジアに吹く季節風による雨季の影響で世界平均の2倍と豊富)に依存していて、その内の74%が農業と工業用に使われ生活用水(家庭&都市活動用水)に利用出来るのは、26%に過ぎず河川の流量も変動が大きく水資源の確保という意味ではまだまだ必要十分な環境を築けていないとの事。

こちらは、2023年7月21日に行われた船舶給水管の漏水調査@宇野港(田井地区)。立ち会わせていただき、水道管がこうしたトラブルにも個々に対処出来るように設計管理されている事を知りました。万事、備えあれば憂いなしですね 🤣

今回調査した水道管は、給水栓から1時間に3〜4トンほど漏水していたので、気づかなかったら月間で約2,880トン(販売価格で100万円以上)が水泡に帰す計算で恐ろしい。とりあえず、問題の給水栓を止水して修繕を待つことになりましたが、ここ以外の給水栓に異常がなかったので今後の業務に支障はなさそうです。

2023年9月30日、この水栓の交換が無事に行われ親メーターと実績との差が月間数トン以内と「捨て水」(給水作業前に給水管の汚れを洗浄する作業)と看做せる値になりました。

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