船舶給水用具

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弊社の船舶給水という生業は、世間的にはかなり珍しい業種だと思います。「どのような仕事をしているのですか?」と尋ねられた時、「港に入って来る船舶に飲料水を提供しています」と返答しても具体的にイメージ出来る人も少ないと思い、スマホに保存している画像を幾つかお見せしています。

船舶給水用具

こちらが船舶給水用の主な器具で、右端に横たわっているホースは消防用と同じもの。作業中の水漏れ事故などに備えて常時、長短8本ほどを軽四トラックに積み込んでいます。壁に立て掛けているのは、給水栓の開閉ハンドルで給水栓の仕様に合わせて使い分けます。中段真ん中にある青色の器具は、電磁流量計で給水量の測定用。因みに、計量器は、計量法(経済産業省の所管)で定められた有効期限内の機器を使用する事が義務付けられています。

中段左端にある赤色の器具は、水流を効率良く制水する(ホースを2手に分ける)分岐器。左下の小さな器具とL字型の筒状器具は、約100年前(!)に日本で生み出された町野式と中島式と呼ばれるカップリング(接合および切断をすばやくするための器具)を接合した特注品。その他、船舶の様々な口径や形状の給水口に合わせて器具を使い分けています。

宇野港(宇野地区、田井地区)では、飲料水を365円 / トン(消費税込)で提供しています。供給能力は、1時間に50~60トン。原水は、一級河川・高梁川水系で、上中流域にあるカルスト台地を移動中にカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分がバランス良く溶解。軟水(30mg / L)で、日本酒の仕込み水としても使われています。

クルーズ客船・カレドニアンスカイへの給水作業風景@宇野港大型客船用岸壁(2017)
RORO船・第二はる丸の接岸@宇野港・田井地区(2021)
RORO船への給水作業風景@宇野港・田井地区(2018)

因みに、地球表面の71%を覆っている水の96.5%は海水で、淡水は僅か2.5%しか存在しないそうです。その内、氷河や氷冠が68.7%、地下水が30.1%で、氷と地中に閉じ込められている。地球上で生息している植物、動物、人間などが、その生命を維持するために利用できる地表水は、全ての淡水の僅か1.2%に過ぎない。また、日本国土で利用可能な水は、ほとんどを降雨(東南アジアに吹く季節風による雨季の影響で世界平均の2倍と豊富)に依存していて、その内の74%が農業と工業用に使われ生活用水(家庭&都市活動用水)に利用出来るのは、26%に過ぎず河川の流量も変動が大きく水資源の確保という意味ではまだまだ必要十分な環境を築けていないとの事。

いかがでしょう。船舶給水という業種について、ご理解をいただけたでしょうか?  余談ですが、日本消防検定協会の資料によると、消防用ホースの登場は、今から400年ほど前のドイツ。なめし皮を縫い合わせてリベットで留めてホース状にしたものが使われていたようです。尚、日本国内で初めて生産されたのは、1903年に日本製麻(現・帝国繊維)・大阪工場が英国ロバートホール社製の織機を使い筒状(ジャケット)に作った麻製のもの。合成繊維を纏った現在のホースとは、隔世の感がありますね 🤣

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