世の中には、仕様をほとんど変えずに愛用されているロングライフ・デザインのグッズが沢山あります。例えば、暮らしの手帖(第一世代の第54号)で紹介された日東紡のふきん(アイキャッチ画像)もその一つ。同誌の記事によると1960年頃の日本には、まだ「ふきん」と呼ばれる専用品は無く、丈夫で機能的なアメリカ製は高価だったので、90%以上の家庭では、「てぬぐい」を「ふきん」として使っていたそうです。

そうした状況で暮らしの手帖社の研究所は、家庭で実際に使われている「ふきん」を集めて大腸菌などバイ菌の繁殖状況を調査。ほとんどの家庭が石鹸で毎日洗濯はするものの、天日干しで完全に乾かしたり、霧吹きとアイロンの併用で殺菌するという習慣がないこと。てぬぐいは、吸水性には優れているものの、そのどれもが小振りで、洗濯を繰り返すと縮んだり変形するなど強度的な弱点があることを指摘。読者に「ふきん」の洗い方や干し方についての指導をしつつ、新しい「ふきん」の製品化について日東紡に共同研究を持ちかけて開発された「ふきん」の伝播力は凄まじく、超ロングセラーを継続しているのはご存知の通り。近年は、中川政七商店の「花ふきん」と併用しています。

こちらは、イタリア出身の天才デザイナー・ジョエ・コロンボ(1930〜1971)のボビーワゴン。彼の名前は、月刊 JAPAN INTERIOR DESIGN 誌の no.130 特集=ジョエ C.コロンボの造型(1970年1月号)で知りましたが、その7年後に同誌編集部に所属するとは夢にも思わず(笑)。2020年、ボビーワゴン誕生50周年を記念して、新色「CUMIN」が登場。

こちらは、フィンランドを代表する建築家・アルヴァ・アアルト(1898〜1976)がデザインした STOOL 60。画像右奥の座面修理が必要なスツールは、1973年頃に購入。他は、1986年製。他にもリノリウムを座面に貼ったタイプを台所と寝室で使用しています。生前、このスツールを見た105歳の祖母が「賢そうやなぁ!」とコメント。この名言をご紹介したくてエントリー。
NEWS! ご案内をいただきました 🤣
企画展:フィンランドのライフスタイル
暮らしを豊かにするデザイン
会 期:2023年4月15日(土)〜6月11日(日)
9:30〜17:00
観覧料:1,200円(一般)
会 場:高松市美術館
香川県高松市紺屋町10-4
087-823-1711
森と湖の国・フィンランド。人と自然との共生が世界で広く意識されはじめるよりも早く、20世紀初頭から、フィンランドの多くのデザイナーたちは、ものづくりにおいて自然との調和を重視してきました。昼間でも太陽が昇らない厳しい冬を快適に過ごすため、あるいは貴重な夏を楽しむために、デザインの中に明るさや柔軟さを取り入れ、人々の生活を向上させようとしてきたのです。
本展では、アルヴァ・アアルト(1898〜1976)や、アイノ・アアルト(1894〜1949)、イルマリ・タピオヴァーラ(1914〜1999)、カイ・フランク(1911〜1989)といった、時代を超えて今なお愛され続ける巨匠デザイナーや、オイバ・トイッカ(1931〜2019)、石本藤雄(1941〜)など、近年のデザイナーたちによる、家具や陶器、ガラス、テーブルウェア、テキスタイルなど、フィンランドの生活を彩る逸品(約750点)を紹介します。また、フィンランドデザインの流れを汲みながら日本で多様に展開するデザインの数々と、ヒンメリ、白樺細工といったフィンランドの手仕事、サウナ文化など、優れたデザインを生み出したフィンランドの暮らしも併せて紹介します。

アルヴァ・アアルトの逝去を知ったのは、フィンランドのヘルシンキ空港へ降り立った1976年5月13日の朝。その時に買い求めた Helsingin Sanomat の訃報記事が手元にありますが、その日に見学で訪ねたオタニエミのヘルシンキ工科大学(現・アアルト大学)では、何事もなかったように授業が続けられていました。その後、日本のフィンランド大使館に資料をいただきにお邪魔した事もあるのですが、それはまた別の話(笑)。

こちらは、1983年頃の吹きガラス手法による倉敷ガラスのタンブラーですが、琉球ガラスを手本にオリエント風な倉敷スタイルを生み出したガラス作家・小谷眞三さんの代表的な作品。「上手でもなく、下手でもない。いやしくなく、気品があって、 しごく、あたりまえにできていて、 たいへんよろしい」と、バーナード・リーチさんからも評価されました。
毎年、クリスマスが近づくと、各地の玩具売場でスイスのネフ社の積み木を使ったデモンストレーションが行われて、子供は勿論、大人までその見事な「パフォーマンス」に釘付けになる。でも、ほとんどの人は、その積み木の値札を見て財布の紐をキュッと締める(笑)。実は、僕もその一人でしたが、ある時、積み木の自作者と話していて、ネフの積み木がとんでもない技術で作られていることを教えられました。使用されている木材、色、フォルム、その全てに奥深き志がある。たかが「積み木」と侮るなかれ。
創業者のクルト・ネフ(1926~2006)は、家具メーカーに勤務後、1954年に自作の家具や北欧のデザイン小物を扱うショップをバーゼル設立。その後、1958年に玩具・ネフスピールを発表し世界中から注目を集めるようになった。正に「良心」という言葉が似合う仕事だと思います。
「毎年クリスマスが近づくと木の玩具屋:ニキティキに、なぜだか入ってしまうのですが、そこでじぃ~と見とれました。吾が子には勿体無い、、、孫でも生まれれば買おうかしらと思います。いい積み木は、打ち鳴らしてもいい音がして、てのひらに丁度よい重さを感じます」とのコメントをいただきました(2010年7月6日、追記)。