ロングライフ・デザイン

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世の中には、長年ほとんど仕様を変えず愛用されているロングライフ・デザインと呼ぶに相応しい製品がありますね。その代表としては、暮らしの手帖(第一世代の第54号)で紹介されていた日東紡のふきんが相応しいのかな? 1960年頃の日本には、まだ「ふきん」の専用品は無く、丈夫で機能的なアメリカ製は、高価で高嶺の花だったそうで、90%以上の家庭では、「てぬぐい」を「ふきん」として使っていたそうです。

そうした中、暮らしの手帖社の研究所は、家庭で実際に使われている「ふきん」を集めて大腸菌などバイ菌の繁殖状況を調査し、ほとんどの家庭が石鹸で毎日洗濯はするものの、天日干しで完全に乾かしたり、霧吹きとアイロンの併用で殺菌するという習慣がないこと。てぬぐいは、吸水性には優れているものの、そのどれもが小振りで、洗濯を繰り返すと縮んだり変形するなど強度的な弱点があることを解明し、読者に「ふきん」の洗い方や干し方についての指導をしつつ、日東紡に新しい「ふきん」の製品化について共同研究を持ちかけました。

こうした衛生状態を危惧して開発された「ふきん」の伝播力は凄まじく、超ロングセラーを継続しているのはご存知の通り。自分も母の影響を受けて学生時代から愛用しています。

小谷眞三さんのタンブラー

こちらは、吹きガラス手法による倉敷ガラスのタンブラー。1983年頃のものですが、琉球ガラスを手本にオリエント風な倉敷スタイルを生み出した小谷眞三さんの代表的な作品。「上手でもなく、下手でもない。いやしくなく、気品があって、 しごく、あたりまえにできていて、 たいへんよろしい」と、バーナード・リーチさんからも評価されました 。

復刻版のコアーズ・ケトル(2007) デザイン:佐久間義敬。製造:(株)本間製作所。

こちらは、商品科学研究所(1973〜1988)の設立5周年公募論文で一席になった中島奈緒実(女優・白石奈緒美)さんの「薬缶 — その歴史的変遷と現在の製品についての問題点」を元に、あるべき理想のやかん像を描きながら研究が重ねられ1979年に商品化されたコアーズ・ケトル。デザインの特長としては・・・

1 大きい注ぎ口のため、ふたを取らずに注ぎ口から直接水を入れられる。ふたが大きいので中の掃除もし易い。

2 取っ手とふたのつまみとの間隔を狭くしたため、持った手の指の背でふたを押さえることができ、片手で注いでもふたが落ちる心配がない。また、ハンドルが固定されているので、注ぐ時に安定感があり、取っ手を焦がしたり、熱くて持てなくなるような心配がない。

3 女性の手の大きさ、握力を計算に入れ、取っ手のカーブや親指のあたる部分に滑り止め用のギザギザをつけるなど、使いよい形状を追求した。

4 ハンドルに細い2本のステンレスを使用したことにより、取っ手への熱伝導率が低い。

5 注ぎ口の穴は、水道の水圧と注ぐ時の安全性を考え、上段を小さく下段を大きくしてある。

6 魔法瓶の一般的な容量(2.2リットル)が無理なく一度に沸かせる。

など、このケトルは、日常生活のなかで使われる「モノ」を、いま一度見直そうという企画から生まれました。

ステルトンのヴァキュームジャグ(1977)

こちらは、デンマーク・デザインのアイコンになったステルトンのヴァキュームジャグの第1世代。ヘアーライン仕上げのステンレス・ボディとグラスフィラー、ジンバル式の蓋など、僅か7点の部品で成立させた力量は、デザイナーのエリック・マグヌッセンが優れたヨットマンであったことの証左でしょう。因みに、第2世代(1979〜)は、ソフィテルでコーヒー・サーバーとして活躍していました。

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