1995年頃、岡山市内の某割烹で偶然に隣り合わせて意気投合し酒を飲み交わした鮨・魚正の二代目・山本洋子さん。その時は、互いの素性を告げずに別れたのですが、その数年後、僕はカウンターに座り、彼女は鮨を握っていた。ここは、西の横綱と呼ばれた名店(陶芸家・藤原 和さんのブログ)なので、僕にはかなり敷居の高い店でしたが、以来「出会い系」の勢いで長年通わせていただきました。
ネタ箱に収まっている20種類ほどの瀬戸内の魚介類は勿論、数年前から時々入荷するようになった大間の本マグロは流石に絶品ですし穴子の握りは印象に残ると思います。さらに、お母さまの「おもてなし」は、忘れがたし。また、瀬戸内コース(10,500円)と銘打った当時のメニュー作りでは、コメントを求められ提案を幾つか採用していただきました。

2005年7月、ご自宅兼店舗を改装するため半年間休業するっていうので魚正を訪ねると、なんと吉田牧場のご一家と遭遇。奥さまの千文さんとは初対面でしたが、カウンターで隣り合わせになったこともあり親しく話しかけていただきました。吉田全作さんのお母さまからも「あなたとは、初めて会ったような気がしないわ」なんて語りかけていただき、めちゃ感激しました(笑)。
後日、パートナーと一緒に山本洋子さんのご自宅の新築祝いに駆けつけたら、またまた吉田全作さんと遭遇、彼が持参したドンペリとチーズで乾杯! 「僕のところでは、ブラウン・スイスという牛の乳からチーズを作っています。今の時期は、新鮮な草を食べていますから特に風味が良いですよ」とのことでしたが、そのミルキーな甘みの中に仄かに漂う青草の香りに陶然となリました。料理、美術、音楽、旅など多彩な話題は流石でした。別れ際に誘われた自作釜で焼いたピザを囲むパーティには、蒼々たる料理人が集合するらしい(2006年1月8日、追記)。

2012年6月、吉田牧場を訪ねる機会があり、吉田全作さんからチーズ作りの心臓部や完成間近だった熟成庫などを案内していただきラクレットとカッチョカバロ、リコッタ・チーズなどを購入。息子さんの原野くんも後継者として立派に育っているようでした。

こちらは、直島の地中美術館のカフェでの洋子さんとツーショット。そして、2019年に閉店した後も作り続けられている鮨・魚正のあみ漬け。

2022年1月、洋子さんの次男・淳さんが岡山市弓之町で営まれていた鮨・山もとの暖簾を下ろして三代目・魚正として再始動されたようです(2022年3月8日、追記)。