はしまや呉服店にて

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磨き上げられたドイツ製のガラス窓越しに見る店内には、着物が一枚も見当たらない。そのただならぬ気配に、われら門外漢は、暖簾をくぐることさえためらってしまう(笑)。平成7年(1995)、河井寛次郎・没後30年記念展で出会った方から、「倉敷にも凄いコレクターがいますね」と教えていただいたのが、ジャン・ポール・サルトル、バーナード・リーチ、ヴァルター・グロピウスたちも訪れたことのあるはしまや呉服店(楠戸家)である。

4代目当主・楠戸 年(みのる)さんの奥様・敏子さんに敷地内(翌年、母屋は、国の重要文化財に指定された)を一通り案内していただき、最後に通された三段蔵(米蔵:当主と濱田庄司の作品が仲良く佇んでいた!)でお茶をいただいたのは、忘れられない思い出。

過日、樹齢250年以上というサツキの一般見学会で再び訪ねる機会を得た。三段蔵は、夢空間はしまやに改装され、母屋の座敷には、芭蕉布に紅型で染め上げた見事な着物が彩りを添えていた。粋とは、こういうものなのだろうな、多分 (^_-)-☆

生活デザインセミナー@はしまや呉服店での島崎 信先生(武蔵野美術大学名誉教授)

倉敷フィントで開催された島崎 信先生(武蔵野美術大学名誉教授)の生活デザインセミナーに参加させていただき、北欧デザイン全般の有り様とハンス J. ウェグナーボーエ・モーエンセンの人となり、思い出話を聞かせて貰ったのですが、振り返ってみても、これほど熱心に聞き入ったのは、人生の中で初めてかもしれない。セミナー終了後、島崎先生と30分ほど無謀にもデザイン歓談を試みたほど(笑)。次回は、自艇で備讃瀬戸を一緒に周遊することを誓い合い、請われてツーショットにも収まりました。そして、これを機会にもう少し先生の「仕事」に接近しなけりゃ、と考えたのでした。

島崎先生の略歴:1932年、東京・本郷に誕生。東京藝術大学美術学部工芸科図案部卒。デンマーク王立芸術アカデミー建築科修了。武蔵野美術大学工芸工業デザイン科・名誉教授。日本フィンランドデザイン協会・理事長。北欧建築デザイン協会・副会長。鼓童文化財団・理事長。NPO 法人東京・生活デザインミュージアム・理事長。有限会社島崎信事務所・代表。

講演会:島崎 信・生活デザインセミナー(終了)
    ハンス J. ウェグナーとボーエ・モーエンセンの絆
日 時:2013年2月23日(土) 15:00〜
参加費:1,000円(一般)
会 場:倉敷フィント 2F
    岡山県倉敷市東町1-3
    086-476-7204

現在、東町の倉敷フィント 2階の別館展示室では、「ハンス J. ウェグナーとボーエ・モーエンセンの絆 展」を常設展示しています。前世紀半ば、デンマーク・デザイン黄金期に特に活躍した 2人のデザイナーの代表作を前に、島崎先生から当時の時代背景やエピソードをお話いただきます。美しい椅子が生まれるきっかけなど、とても興味深いお話になると思います。ぜひ足をお運びください。

ボーエ・モーエンセンの傑作・J39 など@拙宅

企画展:ボーエ・モーエンセンと FDB モブラー展(終了)
    北欧・デンマークが世界一豊かな国になるまで
会 期:2017年9月1日(金)〜9月26日(火)
    10:30〜18:30
観覧料:1,000円(一般)
会 場:リビングデザインセンター OZONE
    東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー
    03-5322-6500(代表)

デンマークは今日、社会福祉、環境問題、持続可能な社会、教育、経済、文化など、様々な分野で世界の先駆的な立場となり、日本においても多くの学びを得ることのできる国というイメージが浸透しています。また、2016年は、2013と2014年に続いて「豊かな国ランキング」で世界一に輝きました。しかし、実は日本との外交関係を樹立させた150年前のデンマークは、豊かとは程遠い貧困国だったのです。

デンマークは、現在人口 560万人、総面積は 4万3098k㎡ という九州よりも少し大きい程度。世界の中でもとても小さな国の一つです。国土は大半が平地で資源はあまりなく、ヨーロッパ北部に位置する厳しい自然環境ゆえにとても貧しい国でした。資源がないので人の力をフルに活用する必要があり、けれども人口が少ないので合理的な動きをしなくてはなりません。 そこで人々は知恵を振り絞り、様々な ”解決方法 = 仕組み” を見出してきたのです。この一つひとつの ”仕組み” こそが、デンマークが世界で一番幸せな国となった理由の一つであり、多くの優れたデザインにはこれらの思想が反映されています。

そして、その背景には FDB(デンマーク生活協同組合連合会)が大きく影響し、そこから生み出された家具部門 FDB モブラーによって、 インテリア事業の角度からも消費者の生活レベルの向上に成功、衣食住の「住」がいかに日常の暮らしの豊かさを左右するか、人々の美意識、感性を作り上げる源の一つであるかを実証し、 世界を引率するデザイン大国へと成⻑を遂げました。

この一連のストーリーを FDB モブラーの初代チーフであり今世に残る数多くの家具を手がけたボーエ・モーエンセンの足跡と作品、FDB モブラーの家具を通して解読していきます。さらに、そんなデンマークのデザイン(仕組み・造形)に影響を与えたのは日本のモノづくりや文化であったことにも言及し、私たち日本人が忘れかけている日本の美意識・感性をもう一度思い起こし「本当の豊かさ」について考えるきっかけとなるセミナーと展覧会を開催したいと考えています。

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