旧野﨑家住宅

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製塩業と新田開発で財を成した野﨑武左衛門(1789〜1864)が、1830年頃から1850年頃にかけて築いた旧野﨑家住宅(野﨑家塩業歴史館)は、宇野港から西に車で30分ほどの倉敷市児島にあります。1977年に岡山県の指定史跡となり、1995年には博物館として登録され、2006年には建造物が国の重要文化財に指定。2011年には岡山県の博物館として、財団法人・竜王会館が初の公益財団法人に認定。敷地面積は約3,000坪・建物延床面積は約1,000坪。

旧野﨑家住宅(2020)

アイキャッチ画像の長屋門を入ると、本瓦葺の主屋群と土蔵群が眼前に広がり、左手の中門を潜ると表書院の枯山水庭園が迎えてくれる。表書院、中座敷などが襖を開けて公開されていて北の向こう座敷まで9部屋(約42m)を通して拝見できます。

旧野﨑家住宅(2020)

現在、画像左上の米蔵2棟を歴史資料、製塩道具183点、野﨑家使用の民具などを展示する野﨑家塩業歴史館として公開されています。当時の使用人は、約70人! 切石敷きの台所は、約45坪あり展示されている台所用品も見応えがあります。

野﨑家別邸・迨暇堂(2024)

近所には、古道具店・ウームブロカントや、ピンクのステッチと藍染めの腰裏生地がアイコンの桃太郎ジーンズなどが軒を連ねる児島ジーンズストリートがあり散策も楽しめます。

ジーンズストリートマップ

NEWS! ご案内をいただきました 🤣

企画展:全国狛犬展
会 期:2024年4月11日(水)〜7月21日(日)
    9:00〜16:30
入館料:500円(一般)
会 場:旧野﨑家住宅(野﨑家塩業歴史館)
    岡山県倉敷市児島味野1-11-19
    086-472-2001

狛犬は、仏教の伝来とともに日本に入ってきた獅子が起源で、仏を守るとともに、仏法の声を表すとされました。平安時代になると、獅子の一方に角をつけて狛犬とし、口を開けた獅子と口を閉じた狛犬の組み合わせが定着しました。これは、仏教の阿吽という概念に基づいています。阿吽とは、呼吸の吸うと吐くのことで、すべてのものが呼吸によって生きているという考え方です。

狛犬は、阿吽の呼吸によって神仏の力を受けて動くと信じられました。また、狛犬の役割は神社やお寺の参道や社殿の前に置かれ、悪霊や悪い気が入らないようにする魔除けの役割があります。人々は、その魔除けの力を借り、身体の痛みを取ってもらえるよう進行していたそうです。

王子が岳の工房・王子窯にて備前焼制作を行っている浜松昭夫氏による狛犬の展覧会です。全国を巡り狛犬を見てきた浜松氏力作の数々を展示します。

溜石

こちらは、旧野崎家住宅の庭に展示されていた溜石(ためいし)。「塩を煮つめるのに使用した石炭の重量を計るため、船に積んで印(喫水線)をつけるのに使った石(分銅)です。1個60kg(16貫)」と説明板にありました。

余談ですが、船に積荷する貨物の容積を求める方法に才数(さいすう)という単位があり、1立方尺(0.303m × 0.303m × 0.303m = 0.027818127立方m)の35倍が0.973634445 = 1才(さい)と定めています。重量に換算すると8kgになります。つまり、1立方m = 35才 = 280kg 。例えば、重さが僅か100gしかない一辺50cm(0.5m) の貨物も才取り計算では、0.5m × 0.5m × 0.5m × 280 = 35kg の値が適用され運送料金に反映されます。どこかで、この知識が役に立ちますように(笑)。

梅荘(2019)

こちらは、旧野﨑家住宅から西に約3キロにある武左衛門の孫・武吉郎の旧別荘をうどん店にした梅荘。本館など5件が国の登録有形文化財に指定されている。瀬戸内海の代表的な景勝地・鷲羽山展望台にも近接。週末は、開店1時間で麺が売り切れてしまうこともあるし、臨時休業も多いので訪問の際には問い合わせをして欲しい。

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