磨き上げられたドイツ製のガラス窓越しに見る店内には、着物が一枚も見当たらない。そのただならぬ気配に、自分のような門外漢は暖簾をくぐることさえためらってしまいます(笑)。1995年の春、陶芸家・河井寛次郎(1890〜1966)の没後30年記念展@大阪高島屋で出会った方から、「岡山にも凄いコレクターがいますね」と教えていただいたのが、倉敷市東町の楠戸家(はしまや呉服店)。
同年の秋、4代目ご当主・楠戸 年(みのる)さんの奥様・敏子さんにパートナーと一緒に敷地内を案内していただき、ご当主と陶芸家・濱田庄司(1894〜1978)の作品が仲良く鎮座していた米蔵でお茶をいただいたのは、忘れられない思い出! そして翌年、フランス人の哲学者・ジャン・ポール・サルトル(1905〜1980)、イギリス人の陶芸家・バーナード・リーチ(1887〜1879)、ドイツ人の建築家・ヴァルター・グロピウス(1883〜1969)などの著名人が数多く訪れた母屋は国の重要文化財に指定されます。
過日、楠戸家の母屋中庭にある樹齢250年以上という見事なサツキの一般見学会で再び訪ねる機会を得たのですが、あの時の米蔵は、夢空間はしまや(現・atelier & salon はしまや)として改装され、母屋の座敷には、芭蕉布に紅型で染め上げた見事な着物が彩りを添えていました。粋とは、多分こういうものなのでしょう。
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ライブ:木下尊惇 ボリビア・フォルクローレ(終了)
千秋楽
日 時:2026年1月13日(火)
昼の部・開場13:30/開演 14:00
夜の部・開場18:30/開演 19:00
入場料:2,500円(お茶・菓子付/要予約)
会 場:atelier & salon はしまや
倉敷市東町1-20
090-6848-9393(楠戸恵子)
歴史ある日本の建物の中で、日本的なテーマを、いかにボリビアで表現できるかという基本的コンセプトの中で、プログラムも会場作りも、ボリビアにこだわってきました。各月の記念日を巡った前半 12回では、それぞれのテーマに沿って、蔵と庭そしてそこに至る通路に、竹や紙、布や石など、さまざまな素材を使った飾り付けをして、季節の花で彩りを添え、木下の父・広唯が新しく描いた作品を掛けて、お客様をお迎えいたしました。
干支を巡った後半12回には、福島の高柴デコ屋敷 17代・橋本廣司さんの干支人形や、広石幾さんの干支クッキーも、毎年の楽しみになりました。すべてのコンサートには、ボリビアの民藝品を使い、ボリビア文化の多様さ、奥深さも感じていただけたのではないでしょうか。
2001年に始めた企画は、26年をかけて完結する事になります。これもひとえに、この長い企画にお付き合い下さり、季節、曜日を問わずご参加下さったみなさま方のお陰と、心より感謝いたしております。このシリーズの終わりに寂しさもありますが、まずは無事に完結できそうな事に安堵しています。木下尊惇 第24回の最終コンサート、みなさまのお越しをお待ちいたしております。

こちらは、ハルミ・ファインクラフトの守屋晴海さんが開催された「生活デザインセミナー」の会場となったはしまや呉服店の母屋での島崎 信先生(武蔵野美術大学名誉教授)。セミナー終了後、島崎先生と30分ほど歓談させていただいたのですが、先生の北欧デザインへの敬愛、デンマーク人の家具デザイナー・ハンス J. ウェグナー(1914〜2007)やボーエ・モーエンセン(1914〜1972)との思い出話に心躍りました。請われてツーショットに収まったのを契機に佐渡の太鼓芸能集団・鼓童など、先生の「仕事」に寄り添わなければと思った次第です。

島崎先生は1932年、東京・本郷で誕生され東京藝術大学美術学部工芸科図案部卒。デンマーク王立芸術アカデミー建築科修了。武蔵野美術大学工芸工業デザイン科・名誉教授。日本フィンランドデザイン協会・理事長。北欧建築デザイン協会・副会長。鼓童文化財団・理事長。NPO 法人東京・生活デザインミュージアム・理事長。有限会社島崎信事務所・代表。
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催し物:フィールドオブクラフト倉敷 2025(終了)
会 期:2025年5月10日(土)〜5月11日(日)
10:00〜17:00(12日は、16:30まで)
会 場:倉敷市芸文館 前広場
倉敷市中央1-18-1
070-5302-8207(倉敷事務局)
全国のクラフト作家77組による作品の展示と、9組のワークショップを開催します。

こちらは、京都の陶工・河井寬次郎(1890〜1966)が過ごした住宅と仕事場を公開した河井寬次郎記念館。彼の著作物などから知りえた迷い、発見、実験を繰り返していた初期から、愛情、信念、悟りを感じさせる晩年までの創作姿勢を少しでも感じられたらと時々訪ねていますが、河井一門の作品を長年扱っている近所の骨董店主から、「最近、記念館で盗難が頻発しているのですよ」と告げられ、なんだか河井寛次郎さんの体温が奪われていくような気がして寂しく思いました。
暮しが仕事 仕事が暮し
河井寬次郎

河井寛次郎は、1920年に5代目・清水六兵衛より陶窯を譲り受け独立。1937年のパリ万博、1957年のミラノ・トリエンナーレ展でグランプリを受賞。当時、高島屋の宣伝部長をしていた川勝堅一(1892〜1979)が本人に内緒で応募し世界にその名を知らしめた事は、知る人ぞ知る逸話。
記念館の建物は、作陶をはじめ、木彫、文章を通じて良き精神を追求した聡明で心豊かな生活を追体験できる空間です。囲炉裏のある部屋や中庭、茶室、工房などで佇んでいると、まるで自宅にいるように和んでしまいます。島根県能義郡安来町の棟梁の次男として育っただけに自ら設計、島根県安来市で大工業を継いでいた兄・善左衛門の手によって1937年に建てられたそうです。没後7年の1973年に記念館として開館。館長は、一人娘の河井須也子さん。主任は、孫にあたる荒川洋子さん(2004年5月31日、追記)。
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企画展:民藝100年
未来へ続く用の美
会 期:2026年1月28日(水)~2月2日(月)
10:00〜19:00(最終日は17:00まで)
会 場:日本橋三越本店 本館6階 美術特選画廊
東京都中央区日本橋室町1-4-1
0565-45-4039
日本橋三越本店では、「民藝」という言葉が生まれて100年を迎えるにあたり、用の美を受け継ぐ手仕事の軌跡をたどる企画展を開催します。民藝運動は、柳宗悦が提唱し、河井寛次郎や濱田庄司らが広めた思想で、華美な装飾ではなく日常の生活道具に宿る美しさを見出すもの。その精神と造形の魅力を改めてご紹介します。
親から子へ、師から弟子へ。用の美を受け継いだ手仕事の軌跡を、いまの暮らしに照らす「民藝100年」。河井寛次郎、濱田庄司、バーナード・リーチ、黒田辰秋、富本憲吉の作品に、濱田友緒や河井創太ら現代作家を重ねて約10名の作家の作品をご紹介します。師弟や地域工房のつながり、素材や技法の違いを通じて造形と機能の関係を読み解き、時代を超えて受け継がれる民藝の魅力をご覧いただけます。


