瀬戸内国際芸術祭 その3

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第5回 瀬戸内国際芸術祭の宇野港会場には、春会期に屋内作品が3ヶ所、夏会期に屋外作品が2ヶ所が新たに誕生し活況を呈しました。アイキャッチ画像は、モロッコ出身の作家・ムニール・ファトゥミの作品・「実話に基づく」の会場・旧三宅医院の外観。同院は、1930年頃に建設され、1980年頃まで外科、内科、小児科などの診療を行っていて自分も小学生の頃、お世話になりました 😅

自分は今回、特定非営利活動法人 瀬戸内こえびネットワークから瀬戸内国際芸術祭 2022 のサポーター運営における補助業務を受託。夏会期中は、イトーキのモバイル・オフィスが弊社の来客用駐車場に設置され、ボランティアサポーター・こえび隊の休憩、検温、充電スポットなどに運用されました。

イトーキのモバイル・オフィス@弊社の来客用駐車場(2022)

NEWS! ご案内をいただきました 🤣

鑑賞会:宇野港街中プロジェクト(終了)
会 期:2022年11月4日(金)~11月6日(日)
    10:00〜19:00
鑑賞料:無料(築港地区の住民に限る)
会 場:築港商店街の3作品
    玉野市築港1-15-16(受付)
    0863-33-5005(玉野市商工観光課)

築港商店街の3作品につきましては、会期後の撤去を予定しています。そのため、作品撤去前に是非、築港地区のみなさまを対象にご鑑賞をいただきたく、上記日程にて作品鑑賞会(無料:会場でのアンケートにご協力下さい)を開催いたします。受付場所は、旧三宅病院(作品:un10)です。ご多用とは存じますが、ご来場賜りますようお願い申し上げます。

実話に基づく@旧三宅医院(2022)

ムニール・ファトゥミのインスタレーション作品・「実話に基づく」は、15本のビデオをプロジェクターで壁、フラットスクリーン、床に置かれた古いテレビ、テーブルなどに直接投影し、異質な雰囲気を再現するものです。また、建築物の破壊を示す15本のビデオ「建築は今!」に関連して、当時の建築物の断片を表す16枚の2枚組写真からなる写真シリーズ「残り物」が展示されています。

2000年から2005年にかけて、ムニール・ファトゥミは、96の異なる国籍の人々が暮らすパリ郊外の建築物を撮影し、映像に収めました。この5年間、作家は移民のイメージと、破壊され新しいものに置き換わる建築物の問題に取り組みました。

半世紀以上に渡って病院として使用され、現在は40年間放置されているこの空間の中で、1930年代の建築がいかに時代遅れになっているかを示し、「病める」建築の問題を日本の芸術祭の文脈で提示することが作家の主旨です。ムニール・ファトゥミは、ある時点で建築も身体と同じように病み、死んで完全に消えてしまうことがあることを示したいと考えています。


この1930年代の建築の社会的損失を、フランス国家は、これを破壊することによって消滅させようとしました。ムニール・ファトゥミは、ビデオや写真のシリーズに加え、近隣の住民との出会いや物語を通して、これらの建築の記憶を保存しようとしました。

作品の手引きより
赤い家は通信を求む(2022)

こちらは、片岡純也さんと岩竹理恵さんの作品・「赤い家は通信を求む」。作品展示会場となった家は、候補に選定された頃から、関係者から「赤い家」と呼んでいたそうです。ただ、作家さんがプランを練るために宇野に滞在した際、地元の人にこの「赤い家」のことを尋ねても、ほとんどの人がその家の存在を知る人がおらず、1階の屋根に大きなアンテナがあったことなどから、何かこの家が通信を求めているような、何かをささやいているようなイメージを抱いたとのこと。

入口の窓から交互に光「青・黄」は、船舶で使われる国際信号旗で「通信を求む」という意味です。商店街の奥に位置した小さな赤い家が、広く通信を求めています。

会場内の作品は、それぞれが1つだけモーターがついており、それに触れることで、歯車のように回転していたりします。これは、世界が「連動」していることを意味しています。作品に使われているモチーフも日常のささやかな風景の中に、関連性を見つけたものが多く、これらも世界が「連動」していることを示しています。

作品の手引きより
赤い家は通信を求む(2022)

こちらの地球儀は、ネットで全国から募集したものの僅か5個しか届かず、実行委員会事務局や作家さんが集めたそうです。この中には、ロシアがソビエト連邦だった頃の地球儀も混じっていました(笑)。

時間屋(2022)

こちらは、長谷川 仁さんの作品・「時間屋」。会場には、除湿機を設置していたけれど、天井から落下させている塩が湿気を含んで固まり、8月15日には臨時休館にして作家さんやこえび隊のスタッフによるメンテナンスを行うなど、会期中は湿度との戦いを強いられたと担当スタッフからお聞きしました。

上から一筋の塩が落ちています。瀬戸内の海から作られた塩(ナイカイ塩業から提供を受けました)です。地球ができた46億年前からずっと海に溶けている塩。人は、それを少しずつ取り出して生活の糧としてきました。この作品は、延々と落ちてくる塩を通じて遥か昔から続く時間の流れを表現しています。流れ落ちてくる塩をコップで10秒間受け止めてみてください(心の中で10秒数えます)。昔から続く時間を今この瞬間、感じてみます。

壁に書かれた数字は、作家本人が46億年の時の流れをイメージして書いた(糊で数字をランダムに書いた上から塩を吹き付けています)ものです。春会期終了後の閉館中に室内の湿度が高くなり、塩が溶けたり、数字が壁から剥がれたりしましたが、これも時の経過を表すものの一つとして捉え、作家さんの意向でそのままにしておくことになりました。

時間屋では、作品の一部を購入する事ができます。10秒の時間を小瓶に入れて持ち帰る事ができます。46億年のうちの10秒を切り取って持ち帰るという趣向です。詳しくは、スタッフまでお尋ねください。

作品の手引きより

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