倉敷民藝館

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民藝運動に人生を捧げた柳宗悦(1889〜1961)の弟子・外村吉之介(1898〜1993)は、建物全体が工芸品と称えられる倉敷民藝館を残してくれました。多くの作家のインスピレーションを刺激した約1万5千点の蒐集品には誰もが感激することでしょう。

2階の格子窓から臨む民家の佇まいも見事で、1950年に来館した英国の詩人・エドマンド・ブランデン(1896〜1974)は、日本で見た最高の眺めと褒めています。また、1954年に来館した建築家・ヴァルター・グロピウス(1883〜1969)も「創造の規範となる仕事の宝庫」との賛辞を与えています。

それなのに、倉敷を訪れる観光客は、大原美術館は立派だけど、土瓶や茶碗や篭などが並んでいる倉敷民藝館は、入館料を払うに値しない処だと思っている人が多いようで、入り口を一瞥しただけで通り過ぎる・・・勿体ない。

倉敷民藝館の初代館長を務めた外村吉之介の著書・少年民藝館の装丁や、旅館くらしきで提供される日本酒のラベルを柚木沙弥郎さん(1922〜)がデザインされているのを目にすると、倉敷に暮らす人々と民藝や工芸との深い繋がりを再認識させられます。そして、こうした施設を整えて下さった先人の方々と、間近で暮らせる環境を与えられていることに感謝なのです。

企画展:もうひとつの芭蕉布物語
    芭蕉布織物工房の仕事
会 期:2021年4月24日(土)~5月30日(日)
    9:00〜17:00
入館料:1,300円(一般)
会 場:倉敷民藝館
    倉敷市中央1-4-11
    086-422-1637

芭蕉布とは、沖縄が世界に誇る伝統工芸品のひとつで、イトバショウの繊維で織られる沖縄特産の布です。琉球藍染、木灰などすべて天然の材料を用い、手括り絣、手織りといった気の遠くなる工程をすべて手作業で行っています。戦前までは衣類用に沖縄各地で織られていましたが、戦争や衣文化の変化により途絶える寸前でした。それを戦後復興させ現在まで伝統を守り続けられているのが人間国宝・平良敏子さん(1921〜) です。平良さんは、沖縄県国頭郡大宜味村喜如嘉に芭蕉布織物工房を設立。芭蕉布の伝統技術を正しく保存し、後継者の育成、歴史の展示、施設の公開等を目指され、100歳を迎えられる現在も、工房の職員と共同で作品制作されています。 平良敏子さんと倉敷の関りには物語があります。

戦時中、平良さんは女子挺身隊として万寿航空機製作所へ入所していました。戦後、壊滅状態となっていた沖縄へ戻れない彼女たちを心配した大原總一郎は、沖縄の文化を倉敷に残そうと、彼女たちに織の勉強会を開きました。織の先生として柳宗悦から推薦を受け倉敷へやってきたのが、倉敷民藝館の初代館長・外村吉之介です。この時、平良さんは柳宗悦の著書・『芭蕉布物語』に出会い、1946年秋、2年半の倉敷生活に終わりをつげて沖縄へ帰ります。別れの際の「沖縄へ帰ったら、沖縄の織物を守り育てて欲しいなぁ」という大原と外村の言葉を受け地道な努力の末、芭蕉布を復興させます。

今回の特別企画展では、芭蕉布織物工房にご協力いただき、戦後から現在も制作されている貴重な芭蕉布の数々を展観します。『芭蕉布物語』の手書き原稿や、実物の芭蕉布が納められた限定15冊の稀覯本・『芭蕉布の世界』を展示します。バーナード・リーチが鳥の絵を描いた芭蕉紙軸は、初公開 (期間限定展示)となります。 タイトルの「もうひとつの芭蕉布物語」とは、平良さんの芭蕉布復興への歩みを示しています。物語の続きは、ぜひ倉敷民藝館でお楽しみ下さい。

常衛門食堂
ブリコール

物見遊山の際には、食事処の捕捉も欠かせない(笑)。自分は、居酒屋風和食店・常衛門食堂や、日本料理の名店・ブリコールがお気に入り。どちらも人気店なので、要予約! 🤣

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