雑然とした駅前の「掃き溜めに鶴」と言ったら怒られそうですが、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館は、常設も企画も素晴らしい。猪熊弦一郎さんが美術館正面の大壁画用(アイキャッチ画像)に用意した原画には、全面に色々な絵が描かれていたそうです。それを建築家・谷口吉生さんが遊びの余白が欲しくなって、ホワイト・インクで消したとのこと。館長室には、猪熊さん直筆の「美術館は心の病院」という額が飾られています。
館内のカフェ MIMOCA(2020年6月2日から「まちのシューレ963」 が運営)も素敵な空間ですが、近年、そこから見上げる空に「異物」が侵入したのが悔しい限り(涙)。


こちらは、2007年に開催された「エルネスト・ネト」展。数々の企画展の中でも特に印象に残っている企画展です。
NEWS! ご案内をいただきました 🤣
企画展:須藤玲子
NUNO の布づくり
会 期:2023年10月8日(日)〜12月10日(日)
10:00〜18:00
観覧料:950円(一般)
会 場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
香川県丸亀市浜町80-1
0877-24-7755
テキスタイルデザイナーの須藤玲子(茨城県出身、1953 〜)と、須藤が率いる「NUNO」の活動を紹介します。思いがけない素材を使用したり、伝統的な職人技と最新の工業技術を組み合わせたり、いち早くサスティナビリティに取り組むなど、従来の概念にとらわれないアイデアあふれる須藤とNUNO のデザインは、身近な「布」に新たな視点を次々に提示し、現代のテキスタイルデザインをリードし続けています。
本展は、2019年に香港のミュージアム、CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)で企画、開催されたもので、コロナ禍のヨーロッパを巡回後、待望の日本開催となります。日本各地の職人、工場との協働作業や、素材の可能性を広げる取り組みに注目し、普段は見ることのできないテキスタイルの制作過程を、音と映像を交えたインスタレーションで展観します。創作の現場に触れることで、生活必需品としてのテキスタイルをあらためて見返し、観る人の暮らしに新たな美を加える機会となれば幸いです。

こちらは、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館から徒歩20分(JR丸亀駅から琴電バスに乗車して香川労災病院前下車、徒歩4分)にある食事処・永楽亭。

懐石料理には、焼き物、揚げ物、煮物、蒸し物、炒め物などありますが、いつも絶対の「幸せ感」を感じられるのは、椀盛です。特に、自分が大好物なのは真薯(しんじょ)。温泉に首まで浸かった時の至福感に相通じるものがあります(笑)。今回、画像がなくて申し訳ありません 😅

こちらは、瀬戸内国際芸術祭の会場にもなっている離島・本島の泊港にある本島パークセンター。丸亀港の本島汽船を利用して旅客船で20分、旅客フェリーで35分。岡山県側からだと児島観光港からむくじ海運の旅客船で上陸できます。館内には、ベンチやスツールが多数あり、本島スタンドというカフェ・レストランも併設。船の時間待ちに使い勝手が良いと思います。

こちらは、木烏神社周辺にある村尾かずこさんの漆喰・鏝絵による作品・「かんばんプロジェクト」と眞壁陸二さんの壁絵による「咸臨の家」。
この作品は、1850年に日本で初めてアメリカへ航海した帆船・咸臨丸の乗務員・横井松太郎の生家を舞台としている。「咸臨」とは、中国の易経から採られた言葉で、「君臣が互いに親しみ合う」ことの意味。身分差のあった時代において「(船の上では)位の上下なく誰もが平等で目的地に向かって力を合わせる」といったメッセージが込められており、希望と不安、生きて帰れるかどうかも分からない航海。目にするもの全てが驚きの連続であったことだろう。
現代社会において身分の差という差別はもはや無くなったが、人種、文化、宗教などの違いを認め合えず未だテロや戦争が続いている。「咸臨」という言葉を今様に「異なる価値観を認め合える多様性のある社会」というように解釈し世界は広く多様性に富み、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、ペルシアも海で繋がっている。様々な価値観と習慣があり、信じる神も様々だが違いを認め理解し合いたい。
また「咸臨の家」は、江戸絵画の杉戸絵や室内を埋め尽くすモスクのタイル画や教会のモザイク画、ステンドグラスなどが発想の原点であり、時代も国境も超えて様々な絵画の文化を咸臨的に捉えている。「生と死、無と無限、混沌と秩序」。多くの宗教家や哲学者、または芸術家が草木や海や山や星を見つめ答えの出ない神秘に挑んだように、この作品も瞑想し世界と人生を考え祈るようになる場所であって欲しいと願っている。