丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

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雑然とした駅前の「掃き溜めに鶴」と言ったら怒られそうですが、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館は、常設も企画も素晴らしい。猪熊弦一郎さんが美術館正面の大壁画用に用意した原画には、全面に色々な絵が描かれていたそうです。それを建築家・谷口吉生さんが遊びの余白が欲しくなって、ホワイト・インクで消したとのこと。館長室には、猪熊さん直筆の「美術館は心の病院」という額が飾られています。

カフェ MIMOCA(2020年6月2日から「まちのシューレ963」 が担当)も素敵な空間ですが、そこから見上げる空に「異物」が侵入したのが悔しい限り(涙)。

企画展:猪熊弦一郎展
    いのくまさんとニューヨーク散歩
会 期:2021年6月19日(土)〜9月5日(日)
    10:00〜18:00
観覧料:950円(一般)
会 場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
    香川県丸亀市浜町80-1
    0877-24-7755

猪熊弦一郎(1902-93)は、1950年代半ばから約20年間ニューヨークで活動しました。

第2次世界大戦後のニューヨークは活気にあふれ、世界中から多様なアーティストが集まって、パリに代わる芸術の拠点となっていました。1955年、猪熊は戦前に暮らしたパリへ向かう予定で日本を発ちますが、途中立ち寄ったニューヨークにすっかり魅了されます。結局パリ行きをとりやめ、この街に居を構えました。

自宅から歩いて行ける距離に立ち並ぶ世界有数の美術館やギャラリーで、名画や最先端の美術を思う存分鑑賞し、高層ビルや斬新な建築物を眺め、パレードや路上ライブを楽しみ、路地裏の落書きを夢中で撮影するなど、猪熊はニューヨーク暮らしを堪能します。

環境の変化は作画にも大きな影響を与え、渡米後、猪熊の表現は具象から抽象へと様変わりしました。そして、ウィラードギャラリーの所属作家として個展を10回開催するなど精力的に新作を発表し続けました。

本展覧会では、「編集長」として編集者の岡本仁氏を、「副編集長」として元ニューヨーカーの河内タカ氏を迎え、猪熊のニューヨーク時代の作品と、猪熊が撮った映像や写真、大量にストックしていたギャラリーの展覧会案内などの資料を展示、彼の画業をその時代背景を含めてご紹介します。猪熊弦一郎が見ていたニューヨークの街を散歩するように展覧会をお楽しみいただけることでしょう。

永楽亭

こちらは、美術館から徒歩20分の食事処・永楽亭。焼き物、揚げ物、煮物、蒸し物、炒め物など料理の調理方法は数々ありますが、いつも「幸せ感」を感じられるのは、懐石の椀盛です。特に、ここの真薯(しんじょ)には、温泉に首まで浸かった時の至福感とも相通じるものがありました。お勧めです。

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