香川県の高松市から東へ10km、庵治石の産地・五剣山の麓にイサム・ノグチ庭園美術館がある。入口近くの石塀で囲まれた円形の敷地が晩年の制作拠点となった野外アトリエ(アイキャッチ画像・撮影:二川幸夫)。天の神気と地の霊気に感応する結界に立ち並ぶ石柱、丸亀の武家屋敷を移築した住居の静寂に誰もが魂の「うねり」を感じるでしょう(笑)。入館は、完全予約制(ホームページの予約申込についてを参照)。尚、近所の山椒山公園にイサムの遊具が2点設置されている。
1957年、パリ・ユネスコ本部の庭園に使う石材調達のために岡山を訪れたノグチを捉えた動画が、岡山県立美術館にて一般公開されました。撮影者は、万成石・山元の浮田隆司さん。とても貴重な映像(8ミリテープ)だと思いますが、DVD化の予定は無いそうです。その他、岡山でのノグチは、金重陶陽の工房で作品の制作(ロクロが使えないので職人との協働)をしていたり、定宿にしていた倉敷国際ホテル、吉備津神社のことなど、エピソードは多く残っているようです。


特別展:イサム・ノグチ
発見の道
会 期:2021年4月24日(土)~8月29日(日)
9:30~17:30(金曜日は20:00まで)
入館料:1,400円(前売・一般)
会 場:東京都美術館
東京都台東区上野公園8-36
03-3823-6921
日本人を父に、米国人を母に生まれたイサム・ノグチ(1904〜1988)は、東西の間でアイデンティティーの葛藤に苦しみながら、独自の彫刻哲学を打ち立てた20世紀を代表するアーティストです。20代で彫刻家コンスタンティン・ブランクーシと出会い、そのヴィジョンに決定的な影響を受けたノグチは、自然と通底する抽象のフォルムが生み出す世界を、生涯を掛けて追い求めました。ノグチは戦争によって、両親の祖国が互いに敵国になるという痛恨事を経験しており、平和への強い願いを込めた作品も残しています。
本展では、類例なきつくり手による「発見の道」を辿りながら、ノグチの日本文化への深い洞察や、その今日的な意味を明らかにし、彼の彫刻芸術の核心に触れる機会にしたいと考えています。