木喰上人

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1665年、徳川幕府が定めた寺院法度は、その意図とは逆に真の仏教精神を求めようとする多くの在野僧を生んだ。日本各地を遊歩した木喰上人もそうした修行僧の一人で、後の日本美術史上に豊かな実りをもたらす秀作を残した。木喰とは、米や豆などの五穀を絶ち、水に溶いたそば粉や木の実、草などを食料とし火食でなく生食しながら修行を重ねる。そして、それを守り通した者を上人という。

1718年、甲斐国西八代郡古関村丸畑(現・山梨県下部町丸畑)に生まれた木喰明満(みょうまん)は、22歳で仏門に入り常陸国茨城郡塩子村(現・茨城県東茨城郡城里町塩子)の仏国寺住持・木食観海上人から木食戒を授けられ、1773年から日本廻国修行を開始しています。因みに、1806年10月に丹波国諸畑(現・南丹市八木町諸畑)の清源寺を訪問した時の様子を当時の和尚は次のようにと書き留めている。「容貌を視るに顔色憔悴して、シュク髪雪の如くシロし、乱毛螺の如く垂る、身の丈6尺なり、壊色の衣を著、錫をもつて来り立つ、異形の物色謂ひつ可からず、実に僧に似て僧に非ず、俗に似て俗に非ず、変化の人かと思ひ、狂者の惑ふかと疑ふ」(木喰上人 著:柳 宗悦)。

バーナードリーチ、濱田庄司らと民藝運動を協創した思想家・柳 宗悦(1889〜1961)は、彼独自の直感でそれまで世間から見向きもせらず見捨てられていた朝鮮陶磁、木喰仏、日本の民藝などに次々と美を見い出します。「直観とは文字が示唆する通り『直ちに観る』意味である。美しさへの理解にとっては、どうしてもこの直観が必要なのである。知識だけでは美しさの中核に触れることが出来ない。何の色眼鏡をも通さずして、ものそのものを直に見届ける事である」と述べています(直観について 著:柳 宗悦)。

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展覧会:柳 宗悦 没後60年記念展(終了)
    民藝の100年
会 期:2021年10月26日(火)~2022年2月13日(日)
    9:00~17:00
入館料:1,800円(一般)
会 場:東京国立近代美術館
    東京都千代田区北の丸公園3-1
    050-5541-8600

今、なぜ「民藝」に注目が集まっているのでしょうか。「暮らし」を豊かにデザインすることに人々の関心が向かっているからなのか。それとも、日本にまだ残されている地方色や伝統的な手仕事に対する興味からなのか。いずれにせよ、およそ100年も前に柳 宗悦、濱田庄司、河井寬次郎が作り出した新しい美の概念が、今なお人々を触発し続けているのは驚くべきことです。

柳 宗悦の没後60年に開催される本展では、時代とともに変化し続けた民藝の試みを俯瞰的な視点からとらえなおします。柳らが蒐集した陶磁器、染織、木工、蓑、ざるなどの暮らしの道具類や大津絵といった民画のコレクションとともに出版物、写真、映像などの同時代資料を展示し、総点数450点を超える作品と資料を通して、時代とともに変化し続けた民藝の軌跡を新しい視点から解き明かしていきます。

左:エンマ十王尊(東光寺) 右:阿氏多尊者像(清源寺)

木喰上人が日本廻国修行の際に逗留していた清源寺で89歳の時に制作した最も卓越した微笑仏がここの羅漢堂に揃っている。特に、阿氏多尊者像を初めとする十六羅漢像は、他に現存していない。河井寛次郎の初期作品も、ここではオマケのように感じました。衆生を病苦から救う微笑仏。拝観料は、寸志(要予約)。

猪名川町の東光寺は、木喰のエンマ十王尊などの彫像群を安置していることで有名。木喰が当地に逗留していたのは、1807年のわずか4カ月ほどのことに過ぎなのですが、90歳の時に彫られた26体の木喰仏(その内、東光寺に15体)こそ、長年の研鑽が見事に結実されたものであること示している。拝観料は、寸志(要予約)・・・参考サイト:猪名川町の木喰仏

木喰の かたみのふでもな 無阿弥だ かへすがえすも 南無阿弥陀仏

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特別展:遠江の木喰仏(終了)
会 期:2016年10月29日(土)~12月4日(日)
    9:00~17:00
入館料:500円(一般)
会 場:浜松市博物館・特別展示室
    浜松市中区蜆塚4-22-1
    053-456-2208

木喰五行(1718~1810)は、北海道から鹿児島まで全国を行脚した江戸時代の遊行僧。60歳を過ぎてから90歳ころまで、各地の人々の求めに応じて1,000体以上の仏像を刻み続けました。ここ遠江の地にも、独特のほほ笑みを浮かべた『木喰仏』が残されています。その素朴な美は、大正末期に民藝運動で知られる柳宗悦が見出し、今なお多くの人を魅了しています。

本展示では、遠江の地においてその作風が顕著となった、誰もが親しみを感じる『木喰仏』にスポットを当て、歌や書などの資料も合わせ55点を展示し、その魅力と背景に迫ります。

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