倉敷フィントにて

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島崎 信先生(武蔵野美術大学名誉教授)の生活デザインセミナー@倉敷フィントで、北欧デザイン全般の有り様とハンス J. ウェグナーボーエ・モーエンセンの人となり、思い出話を聞かせて貰ったのですが、振り返ってみても、これほど熱心に聞き入ったのは、人生の中で初めてかもしれない。セミナー終了後、島崎先生と30分ほど無謀にもデザイン歓談を試みたほど(笑)。次回は、マイボートで備讃瀬戸を一緒に周遊することを誓い合い、請われてツーショットにも収まりました。そして、これを機会にもう少し先生の「仕事」に接近しなけりゃ、と考えたのでした。

島崎先生から、スーパーレジェーラ(d:ジオ・ポンティ )をカッシーナの社屋2階から投げ落とすデモンストレーションを見たと教えられましたが、いかに堅牢とはいえ、この椅子にはエレガントな女性のお尻がよく似合うのである。

1982年製のスーパーレジェーラ。2004年、座面を全面張り替えました。費用:107,730円!(笑)。

たとえば、飲み物を飲むことだけ考えれば、手荒くあつかっても壊れないプラスティックのコップで充分に事たりるのに、気をつけて持たなくてはならない細い足のクリスタルグラスでワインを飲むのはなぜだろう。女性が絹のドレスを着るとなんとなく気のもちようが変わって、立ち居振る舞いがエレガントになってくるのと同じように、人はワイングラスを手にすると、そのあつかいに細やかな気配りをすることを当然のこととして厭わなくなり、むしろ快感を覚えるようになる。互いに共振し響きあうような物と心の関係の領域が大きくふくらみ豊かなものになってくれば、物は人に心地よさや充足感を与えてくれる。物はそれなりのあつかい方を求め語りかけてくる。その語りかけをどれほど理解できるかが、人間の文化というものかもしれない(島崎 信・著:椅子の物語より)。

展示会:島崎 信・生活デザインセミナー(終了)
    ハンス J. ウェグナーとボーエ・モーエンセンの絆
日 時:2013年2月23日(土) 15:00〜
参加費:1,000円(一般)、500円(学生)
会 場:倉敷フィント2F
    岡山県倉敷市東町1-3
    086-476-7204

現在、東町の倉敷フィント 2階の別館展示室では、「ハンス J. ウェグナーとボーエ・モーエンセンの絆 展」を常設展示しています。前世紀半ば、デンマーク・デザイン黄金期に特に活躍した 2人のデザイナーの代表作を前に、島崎先生から当時の時代背景やエピソードをお話いただきます。美しい椅子が生まれるきっかけなど、とても興味深いお話になると思います。ぜひ足をお運びください。

島崎先生の略歴:1932年、東京・本郷に誕生。東京藝術大学美術学部工芸科図案部卒。デンマーク王立芸術アカデミー建築科修了。武蔵野美術大学工芸工業デザイン科・名誉教授。日本フィンランドデザイン協会・理事長。北欧建築デザイン協会・副会長。鼓童文化財団・理事長。NPO 法人東京・生活デザインミュージアム・理事長。有限会社島崎信事務所・代表。

1956年、東横百貨店(現・東急百貨店)に入社し家具デザインを担当しますが、在職中の1958年、JETRO による産業意匠研究員として日本人として初めてデンマーク王立芸術アカデミーに留学し、家具デザイナーのオーレ・ヴァンシャに師事し、同時に数多くのデザイナーと知己を得ます。帰国後は、東横百貨店に戻り商品企画室の設立に携わる一方、北欧留学で得た幅広いデザイン見識をもとに講演、執筆活動も始めます。そして1966年に東横百貨店を退社し、同年高木晃氏とともに「東京デザインリサーチ」を立ち上げ、家具を中心としたインテリアはもちろんのことプロダクトや日用品、店舗ディスプレイから商品開発というように、活躍の場をさらに広げていきます。また家具や生活用品に関するデザイン展覧会やセミナーを多数企画。北欧やデザイン関連の著作も多数に及ぶ。

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