永楽亭にて

  • ブックマーク

焼き物、揚げ物、煮物、蒸し物、炒め物など料理の調理方法は数々ありますが、いつも「幸せ感」を感じられるのは、懐石の椀盛です。特に、真薯(しんじょ)には、温泉に首まで浸かった時の至福感とも相通じるものがある(笑)。

「小座敷ノ料理ハ汁一ツ、サイ二カ三ツカ、酒モカロクスベシ、ワビ座敷ノ料理ダテ不相応ナリ、勿論取合ノコクウスキコトハ茶ノ湯同前ノ心得也」(利久・南方録より)・・・わび座敷の茶で出される料理は、一汁二菜か三菜にし、酒も軽く出すのがよい。わび茶の懐石に手のこんだ料理を出して人の目を楽しませたり、驚かせたりする料理だてをするのは似合わないと言っている。ここに温石(おんじゃく)としての懐石料理が始まったのである。

先週末、久しぶりに訪ねた丸亀の食事処・永楽亭では、椀盛にも使われていた真鯛を使った料理が記憶に残りました。特に、舌の上を滑る見事な向付には感服しました。次回は、看板料理の鰻を所望する予定。永楽亭では、静岡の養鰻業者から取り寄せているという。静岡といえば、三島のうなぎ桜家が忘れられない。因みに、ここを予約する時は、当然、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の企画展との抱き合わせになります (^_-)-☆

企画展:猪熊弦一郎展
    アートはバイタミン
会 期:2020年6月2日(火)〜6月28日(日)
    10:00〜18:00
観覧料:950円(一般)
会 場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
    香川県丸亀市浜町80-1
    0877-24-7755

「アートというものは、心のヴァイタリティーの一つの薬みたいなものですね。それを大きくすりゃあ、ミュージアムでしょう。病院という、病気のための、人間を生き返らせる機械があるとすると、ミュージアムというのは心の病院です。それを一点でも、もってきて家庭に置けば、結局、バイタミン(vitamin:ビタミン)のいいのを毎日飲んでるようなものですね」(猪熊弦一郎)。

猪熊弦一郎(1902〜1993)は、生涯を通じて、美を愛し、美を探究し、美をあらわそうとした画家です。美しいものには、人の心を癒したり活性化したりする力があると信じ、自分が作り出した美を、より多くの人々の身近な場所に提供し、世の中や人の生活に役立てたいという思いを強く持っていました。また、家に一ついい絵があれば、それを毎日ほんの少し見るだけで大きな効果があるとし、美術館を「病院」とするならば、家で見る絵は「ビタミン剤」のようなものだと考えていました。そして、常に暮らしを整え、自分の生活そのものも大切にしていました。

本展では、当美術館が長寿命化のための改修工事を経てリオープンするこの機会に、初心に立ち返り、猪熊弦一郎が考えるアートの役割と、猪熊作品が生活のなかに作り出した美のあり方をご紹介するものです。「猪熊自身の暮らし」「プライベート空間への美の提供」「パブリックアート」の三部構成とし、猪熊の終の住処となった田園調布の家の台所と居間の再現や、猪熊作品のある暮らしの実例、猪熊がデザインした家具や包装紙、加えて、長く愛され続けている猪熊の代表的なパブリックアートの現在の様子を展観します。

この記事を書いた人